掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 の感想

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タイトル掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集
発売日販売日未定
製作者ルシア・ベルリン
販売元講談社
JANコード9784065119297
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

ルシア・ベルリンの本邦初の短編集。全24篇。岸本佐知子訳。3篇が過去に雑誌掲載されただけで、残り21篇は訳し下ろし。日本人読者の前に、どっさりとルシア・ベルリンが提供されたわけだ。ありがたい。
カバーと目次の後に、三番目の夫が撮った彼女の写真がついている。かなりの美人である。
数篇読むと病みつきになってしまう作家であり、全部読むのはもったいないと思いつつ、ついつい全部読んでしまった。
作品がすごいが、人生もすごい。30歳までに3人の夫と結婚離婚し、30代の出発の時点で4人の息子を抱えたシングルマザーであった女性が、様々な職業に就き、アルコール依存に悩み、引っ越しを繰り返し、子供を育て上げ、アルコール依存を克服して、50代の安定期にたどり着くのもすごいが、その後も「走れ、走り続けよ」的生活を続け、68年の人生を生き抜いたのもすごい。
作品はそんな彼女の波瀾万丈(???)の人生という太い幹から、彼女自身が皮を切り取って読者に見せてくれるのだが、切り取る場所によって、全く違うルシアが現れるのが面白い。(たとえば、「沈黙」のアル中の叔父に悩まされる娘、「最初のデトックス」の四人の子持ちのシングルマザーアル中、「さあ土曜日だ」のアル中を克服した刑務所講師)。また、同じ場所を切り取っても、別の話ができるのも興味深い(たとえば、不治の妹を看病する「ママ」、「苦しみの殿堂」、「あとちょっとだけ」)
作品の長さを数えてみると、長い方から、「沈黙」約21頁。「さあ土曜日だ」約20頁。
短い方から、「マカダム」約2頁。「わたしの騎手」約2頁。「ティーンエイジ・パンク」約3頁。「ステップ」(アル中)約4頁。「どうにもならない」(アル中)約5頁。「エルパソの電気自動車」(聖書引用ネタ)(約5頁)。のこりは約6頁から約19頁になる。(数え間違いご容赦)
私的感想
〇ランキングの付けにくい作品群だが、一応、特別気に入ったものを5位+次点まであげてみる。
第一位「いいと悪い」・・サンチャゴでご令嬢をしている娘と彼女に共産主義を植え付けようと貧民街を連れ回す学校女教師。見事な終わり。
第二位「星と聖人」・・いじめられっ子ルシアと尼僧の愛情。不条理で突然のラスト。

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講談社から発売されたルシア・ベルリンの掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集(JAN:9784065119297)の感想と評価
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