メンチカツの丸かじり (丸かじりシリーズ38) の感想

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参照データ

タイトルメンチカツの丸かじり (丸かじりシリーズ38)
発売日2015-11-20
製作者東海林さだお
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022513304
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » さ行の著者

購入者の感想

矢も盾もたまらぬ喫食願望を読者の心中に暴力的に喚起するのが『丸かじり』であるとするならば、先のレビュワーmametchi氏のおっしゃるように、これは『丸かじり』ではなく、シリーズ第30巻以降は『丸かじり』度が低下しているとのお説も否めない。

その原因は、シリーズ第37巻(目玉焼きの丸かじり)に所載の”ソーメン、いつ噛むか”の冒頭にある「連日の猛暑のせいで、このところ食欲がない。いままでの人生で、こんなことは一度もなかった。(中略)寄る年波のせいだろうか」という一文に示されている通りであると思う。

東海林氏の食欲こそが、読者の喫食願望を手玉にとって翻弄する『丸かじり』のエネルギの源泉であったのだが、この源泉の湧出量は歳を閲して漸く減少し、今や暴力的なパワーは影を潜め、穏やかな様相をすら呈しつつある。

だが、漫画とエッセイの両方に亘って東海林氏の作品をできる限り収集し折々に読み返している小生にとって、時の流れと共に徐々に変容している『丸かじり』は、その変容の方向と速度までをも含めて、やはり『丸かじり』であると申し上げたい。小生の食欲もやがて東海林先生の食欲と同じように変容して行くことを予感しつつ。(上で「東海林氏」なんて書いてしまいましたが、勝手ながら、やはり「東海林先生」とお呼びしたいですね)

どうしても暴力的なところがなきゃ厭だ、という人以外は、シリーズ第30巻以降の『丸かじり』も十分に楽しめます。安心してお買い求めください。

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