金田一家、日本語百年のひみつ (朝日新書) の感想
参照データ
タイトル | 金田一家、日本語百年のひみつ (朝日新書) |
発売日 | 2014-08-08 |
製作者 | 金田一秀穂 |
販売元 | 朝日新聞出版 |
JANコード | 9784022735768 |
カテゴリ | 人文・思想 » 言語学 » 日本語・国語学 » 日本語研究 |
購入者の感想
本書のタイトルは『日本語百年のひみつ』とあって、帯にも日本語論を紐解くような雰囲気(「金田一さん、日本語は大丈夫ですか?」)が窺えるが、概ね内容は(第1部第1章・第3章などを除いて)、金田一家(京助・春彦)の随想・回顧録、もしくは著者の祖父・父や家族に関するエッセイと言って良い。構成・内容はこのページの上の「商品の説明」に詳しいので、本稿では取り上げないが、本書のコンセプトはエッセイと観ても雑多なトピックが多く、時折何がしかの日本語(断片的表現・単語)に関する蘊蓄(トリビア)を取り上げるものの、タイトルや帯の宣伝コピーに見えるほど専門的な「日本語」論や語学論を紐解くものではない。また第2部第3章では、突如として「春彦・秀穂ニホンゴ対談」が登場する。春彦氏は2004年(享年91歳)に没しているので、いつの頃かと思いきや、それらしい対談形式を踏んでおきながら「造られたもの」と「あとがき」での種明かしがあって、些か落胆させられる。「親子の対談の本物など、恥ずかしくてお見せするわけにはいかない」(220頁)からと言って、それらしく体裁を整えた「造られた」ところの「対談」が現実化するわけでもあるまい。他方、“文 革”終結直後の父・母との旅行記など(第2部第2章)、第2部のトピック構成からは、京助・春彦両氏(の事蹟)を偲ぶ回想的エッセイと言うべきだろう。