街道をゆく〈35〉オランダ紀行 (朝日文芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル街道をゆく〈35〉オランダ紀行 (朝日文芸文庫)
発売日販売日未定
製作者司馬 遼太郎
販売元朝日新聞社
JANコード9784022640536
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

購入者の感想

 司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズを初めて読んだ。随筆として書かれた本シリーズは、多少とりとめない印象を受けるが、丁寧に読むと上質のヨーロッパ文明論であることがわかる。数多くの歴史小説を書いた著者だけあって、歴史上の知識の豊富さは驚くほどだ。著者の歴史小説は、ほとんど日本か中国が舞台だが、ヨーロッパの歴史についても大変くわしく、司馬史観と呼ばれる文明観に基づいて、単なる教科書的な知識ではない本質的な理解に達しているということを改めて感じた。例えば、同じヨーロッパの中でも、フランスのように料理文化が発達している国と、イギリスのようにそれほど美食を追求しない国があるのが不思議だったが、なるほど、その違いは彼らの宗教観の違いからきていること、また17世紀オランダを代表する画家レンブラントの絵が非常に写実的なのは、当時のオランダ社会の主流を占めていた商人の考えかたからきていること、そして同時代の画家ルーベンスが、まったく違った作風の絵を描いたことを、カトリックとプロテスタントの違いから説明していること等への著者の説明に納得できた。そして、商人の国だった17世紀のオランダこそが、現代に通じる資本主義的考え方そして株式会社等の組織の起源だったことを理解することができた。歴史を振り返れば、オランダは江戸時代に外交関係を持っていた唯一のヨーロッパの国であり、我々日本人に大きな影響を与えた存在だったことを改めて思い出させてくれた。

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