富士日記〈下〉 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル富士日記〈下〉 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者武田 百合子
販売元中央公論社
JANコード9784122028739
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

購入者の感想

富士日記には上・中・下と三巻あるが、
特に下巻は段々と弱ってゆく武田泰淳氏との生活を
悲しい、辛い、痛々しい、という類の言葉を使い、
説明するのではなく、
突き放したようにその時間を描写してある。
そして、その文体からわれわれは
その現状を、心情を深く感じるのである。

この巻から登場する、猫。
動物の習性とそれを褒めつつも、
猫はモグラやうさぎや蛇をとってきて、
本人は遊んでいるつもりだが、
その行為は獲物の生を奪っている。

この日記の中に出てくる
晩年の武田泰淳氏の言葉、

食べすぎると毒、
のみすぎると毒、

生きているということが
身体には毒なんだからな

生きてゆくという事は
死に近づいてゆく事、
この著者の百合子さんも今はいない。

武田百合子さんの生き様には本当に心を打たれました。自分をしっかりと持ち、夫にもかいがいしく振舞う姿勢に敬意を感じました。特に、散発や髭剃りをする百合子さんの姿は夫への限りない愛情を感じずにはいられませんでした。女として生きる、今よりもきっと決められた概念の中で暮らしていかなければならなかったでしょう。けれども、愛する人のそばにいるだけで女性は幸せなのかもしれない。それはとても大切なことかもしれないと思いました。
「あとがき」からも感じられる夫への愛がこの作品をさらに深いものにしているように思いました。マガジンハウスから出た「クウネル」創刊号に載っている武田花さん(お二人の娘さん)のインタビューも必見です。

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