臣女 (徳間文庫) の感想

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参照データ

タイトル臣女 (徳間文庫)
発売日2016-09-02
製作者吉村 萬壱
販売元徳間書店
JANコード9784198941499
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

評価良く、読んでみたら、章ごと衝撃的すぎて一日があれば読み切れます。
主人公の文行さんは浮気野郎であって、自分がしてしまったことが妻の奈緒美さんを苦しめたので、奈緒美のためすべてを果たしていくと自分(主人公)が語っていく。
妻の排泄物や体の変化など生々しく書かれていて、グロテスク好きな私も気持ち悪くなるぐらいでした。
謎が深まっていくなか、作者はどこに向かっていくのだろうと素朴な疑問がありました。
文行さんは身動きの取れない巨大化した妻のために山まで連れて行こうというのは最後のクライマックスでした。
最後まで読み切ったら「あー、愛しているんだな」「いい旦那だったなー」って思ったが、言葉では説明できないほど違和感がありました。
ファンタジーで妻が巨大化したのか?あんなに音出して周りの人たちはもっと早く発見しなかったのか?妻を苦しまないで安楽死の方向は考えていなかったのか?何で妻の体に大量の虫があるのか?頭に沈没があるのか?あの膜の謎の物体は何だったのか?
・・・って考えていくと、はっと気づいた。
妻はもう死んでいるのでは!
文行さんはクリスマスに浮気がばれて妻を殺したのではと思いました。
妻の未送信のメールがあったり、異臭がひどかったり、昆虫が繁殖したり、お母さんが咳き込みして家から逃げたり、お母さんが家に訪れた時に妻を書籍に隠して腐敗した体によって本がダメになったり・・・
自分のことをヒーロー化して、妻のためなら何でもかなえてやるという被害者妄想になり、もはや統合失調症に近い現実逃避になっているのではと私は解釈しました。最後は周りの住民に死体がばれる前に山奥に捨てに行こうとしたところ、釣り人に発見されて焦った文行さんは妻の体を海の中に投げ捨てたと思います。最後は警備の人に発見され、「容疑」という言葉はこの本の謎を解けました。
人によって文行さんはいい旦那さんだが、私は文行さんは最初から最後まで気持ち悪い犯罪者だと思いました。

文行(夫)の不倫をきっかけに、身体が巨大化していく奈緒美(妻)。それは、激しい痛みを伴い、歪に、日々変化していった。最終的には四メートルを超すようになり、とても奈緒美一人では生活出来なくなる。
巨大化した身体には、それに見合った食料を必要とし、当然排泄物の量も尋常ではなかった。夫婦は、古い母屋で奇異な奈緒美の姿を隠しながら過ごすが、垂れ流し状態の糞尿の臭いが近所に充満するようになってからは、近所の住人たちから白い目で見られ監視されるようになった。
大量の食料を調達し、食べて出すだけの日々が続いてゆく。生きる根源である「食べて出す」ことだけを生活の全てに費やす夫婦の生活は、一見普通に思われるが、巨大化してしまったことで明らかに人様に見られてはいけない奇妙なものとなった。
文行は、自分が起こした不倫という過ちを償うために奈緒美の世話をしているのではなく、そこには紛れもない「夫婦愛」が存在していた。
夫婦の在り方や生き方を問われるような究極の純愛ラブストーリーである気がしました。

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