チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~ DVD 通常版 の感想

この映画はホントに力作だと思う。青春団体定番モノと一括りしては失礼だろう。
音楽と違ってチアの躍りはアテレコが効かないので、｢フラガール｣｢ウォーターボーイズ｣同様に撮影と並走してのレッスンが異常に大変。撮影初期は下手くそ、最後は優勝に相応しい完成形にしなくてはならないのだ。
当然、演舞パターンも絞り込む必要があるが、予選から何度も同じ内容で踊ってはラストの感動が薄れるので難しい。野球等のスポーツなら配球や心理描写のストーリーを繋げばよいが、このチアは集団演舞の大変さを含めて本当に凄い。主要演者達だけとは言え、厳しい制約の中でよくぞあれだけの完成度に仕上げたものだ。それだけで称賛に値する。
広瀬すずをはじめとした生徒達の溌剌さと目標に対する真摯な姿勢に心打たれ、天海祐希の十八番である厳しくも温かいコーチングと背負ってきた孤独にまたもや共鳴してしまった。
チアをはじめ、陸上･水泳リレー、体操や新体操団体、シンクロ団体、卓球やバドミントン、カーリング等、近年の日本は相手との非接触型の団体スポーツが本当に強い。
厳しく圧倒的な練習量も然ることながら、それが集団競技でもチーム戦でも｢自分の為｣よりも、｢仲間たちと共に｣の方が実力を出せて、しかもリラックスとコミュニケーションには笑顔が大切な事はリオ･平壌五輪などで証明済み。
まさに本作はそれらが象徴的に描かれ、登場人物それぞれの佇まいがとても清廉で美しく、心の内側から泣けた。久方振りの“なでしこスポ根”の快作に拍手喝采だ。