へたも絵のうち (平凡社ライブラリー) の感想

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参照データ

タイトルへたも絵のうち (平凡社ライブラリー)
発売日販売日未定
製作者熊谷 守一
販売元平凡社
JANコード9784582763256
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » か行の著者

購入者の感想

東京芸大の前身、東京美術学校で青木繁、和田三造と同期。入学当初からその才能を見込まれながらも、終生いわゆる中央画壇からは距離を置いていました。晩年には「画壇の仙人」と呼び習わされたいわば超俗の画家。「私は一生のあいだ、1つの石ころを見ているだけで飽きることが無い」「絵なんて、描く前の白いままのカンヴァスが一番きれいだ」などなど興味をひく発言には事欠きません。
しかし、そういったエピソード以上にこの本の魅力は、その人柄が満ちあふれる文体にあるように思います。誇大広告ではなく、その「うねり」は、どうしても手短に要約することが出来ません。「味わい」とか「深み」とか「醸しだすもの」としか言えず、真似ができないのです。
自己表現ばやり、アーティストばやりも聞き飽きたほどの昨今ですが、その真摯でいい加減な生き様(これが両立しているところがすごい!)に、あえて「芸術家」や「画家」ではなく「絵描きさん」と呼びたくなります。天国のモリカズ先生はきっとこれを尊称だと受け取ってくれると思っています。
私が生まれた年(1977年)に亡くなっているのも何か嬉しいえにしを感じて、読み、文体に巻き込まれ、笑い、時に身につまされて、読書のはしばしで、「モリカズせんせーいぃ」と叫びたくなるのです。
地に足のついた「表現」とは何かを想うため、そして良く生きることとは何なのかを身体に刻むための、貴重な一冊。巻末には赤瀬川原平氏のこれまた読ませるエッセイも入っています。

※「絵も見てみたい」という方は、もとは住居兼アトリエだったというこじんまりとした「熊谷守一美術館」(豊島区千早/website有)でその作品に出会うことができます。有楽町線要町駅から10分ほど歩きますが、まるで「この世の外」に来てしまったような一日を過ごせること請け合いです。よろしければ是非そちらも。

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