アフリカゾウから地球への伝言 の感想

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参照データ

タイトルアフリカゾウから地球への伝言
発売日販売日未定
製作者中村 千秋
販売元冨山房インターナショナル
JANコード9784866000114
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 環境問題

購入者の感想

 中学生の頃からの夢を追いかけて、がむしゃらに行動してきたアフリカゾウ研究者が、その半生を綴る本。中学の卒業文集に「アフリカに行きたい」「広い土地と綺麗な空気と心ある人々と一緒に住んでみたい」と書いた著者は、試行錯誤しながらも一直線に夢を実現し、30年に亘ってアフリカ・ケニヤに拠点を置き、アフリカゾウの生態研究や保護、地域の子供たちの教育や女性たちの自立活動の支援を続けてきた。
 周囲に野生動物しかいない調査小屋に住み、ゾウの糞の観察から始まった生活。著者は、いつしか「吾輩は野生のアフリカゾウである」というほどに、アフリカゾウに同化した存在となる。書名の「アフリカゾウから地球への伝言」は、アフリカゾウの研究を通じて得た自然と人間の共生のための貴重なヒントの数々を指しているが、それは、「中村千秋からの伝言」に他ならない。
 著者の半生を導いた様々な恩師たちとのエピソードは興味深いが、最大の恩師は、ケニヤの野生動物たちであり大自然である。大自然との対し方、人間社会と大自然のバランスのとり方についての深い考察は、安易な二極化に陥ることなく、ヒトを含む生き物全体への愛が溢れている。人生の軸足を大自然の中に置いた著者ならではの希望を感じる。
 著者の活動の真骨頂は、アフリカゾウの研究にひたすら没頭することなく、幅広い人たちに大自然とのかかわりを考えるきっかけを提供してきた二つの活動である。一つは、地域の子供たちや日本からの旅行者を野生動物の世界に案内する教育エコツアー。五感で地球の大自然を実感できるこのツアーの体験が参加者に与える影響は計り知れない。もう一つは、地域の女性たちの自立支援活動である。水源から水を引く工事により辛い水運びの仕事から解放され、洋裁の技術を身につけシャツやエプロンを販売できるようになったビリカニ村の女性たち。邪魔ものだったアフリカゾウは、もう排除や恐れの対象ではなくなった。その様子が、村の女性たちと著者のいきいきとした会話の再現で描かれている。
 ツアーに参加した子供たちの中からは、やがて教師になる者も出た。女性たちの活動は、ベテランから若い世代へと引き継がれている。「大自然と人間社会の小さな架け橋となって、次世代に継承していく」という著者の夢は、こうして実現しつつある。

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冨山房インターナショナルから発売された中村 千秋のアフリカゾウから地球への伝言(JAN:9784866000114)の感想と評価
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