ジャックと天空の巨人 (吹替版) の感想

「ジャックと豆の木」 という題名で慣れ親しんできた物語。
この作品中でも誰もが知っている伝説として、子供達に読み聞かせ、語られています。
全編にわたって、お子様向けにオブラートに包むなんてことはせず、
童話が本来持つ独特な世界観を、容赦なく映像化している作品です。

愚かな人間、僧侶たちが神への冒涜を働いたことが地上に不幸を招きます。
その地獄を時の王が見事収め、平和を取り戻した・・・という話が伝説になった頃、
私利私欲の為に、再び地獄の門を開こうと画策する裏切り者が現れます。
外の世界に目を向ける美しい姫と冒険好きの青年が巻き込まれて行きます。
魔法の豆が姿を変える、遥か天空まで届くその巨大な植物。
辿り着いた先は天上なのに何故か地獄、たくさんの巨人の巣窟。
再び地上に降り注ぐ災難、最悪の事態 “人間 vs 巨人”
人間はこの戦いに勝利することが出来るのか・・・

童話には自然と出来た決まり事と流れのようなものがあります。
・近付いてはいけない危険な場所には、恐ろしいものが棲みついている
・人を殺すことは勿論、盗みや嘘、犯した罪にはそれ相応の罰が下る
戒めや教えを、恐怖を使って学ばせています。
それは時代とともに少しずつ形を変え、
・勧善懲悪
・善い行いを積んだものには褒美がある
夢、勇気、友情、思いやりに溢れる心 教えることが大きく変わっています。
そして内容以外にもその “見せ方” も大きく変化しました。
大きな文字を追いながら、挿し絵が想像の世界を広げる絵本に始まり、
ポップアップを目にした時は、その仕掛けにワクワク。
(実際ポップアップには長い歴史があるようですが)
そして今、童話の世界を映像で見る。
“生きている童話” の世界に遊びます。

絵本と同じ様に 「めでたしめでたし」 で物語は終わりますが、
作品としてのラストには、ちょっとした捻りが加えられています。