毛の人類史 なぜ人には毛が必要なのか (ヒストリカル・スタディーズ18) の感想

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タイトル毛の人類史 なぜ人には毛が必要なのか (ヒストリカル・スタディーズ18)
発売日販売日未定
製作者カート・ステン
販売元太田出版
JANコード9784778315573
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

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脊椎動物の登場とともに、上皮が単層から多層に進化する。ここから、毛幹と毛包の構造が誕生する。毛は温血性の生命体である哺乳類にとって断熱材であり体温を一定に保つために重要なものであり、感覚器としての役目も果たす。人間の祖先が被毛を失った理由については多くの説があるが、有力なもののひとつは、熱の放射を効率よく行って温度の変化に敏感な脳を守るため、というものだ。実際、霊長類の脳が巨大化しはじめた時期と被毛を失った時期は重なっている。被毛を失ったことでヒトの祖先の母親は赤ん坊を被毛にしがみつかせることができなくなって行動が制限されるようになり、父親とセットで家族を形成するようになったという学説もあるようだ。

毛の生え方にはいくつかのパターンがあり、チューリングは数学的にそれを説明しようとした。北アメリカの成人では右利きの人の90%以上がつむじが時計周りである。毛包はいったん形成されると毛管を生み出し、独特の成長周期をたどる。ヒトの毛の場合は、成長期→休止期→脱毛期の周期を繰り返す。動物によっては、季節によって毛が成長する時期と脱毛する時期が大きく分かれる。例えば、ビーバーの被毛は晩秋において最も衣類に適した状態になることが昔から知られていた。

脱毛に悩む人は多くいる。ストレスが関係する場合もある。去勢された男性は禿げない。円形脱毛症は頭皮の特定の部位だけで発生するが、どうしてなのかははっきりわかっていない。また、多くの科学者が失われた毛の再生方法を研究してきたが確実な方法は見つかっていないようだ。ただし、栄養状態は毛の健康とも関連性が深いということはいえる。

毛は美をアピールするものでもある。鳥類は求愛において羽を利用する。ネコは敵意を表すのに毛を逆立てる。人間の場合でも髪の毛は美をアピールするための身体的特徴のひとつとして考えられてきた。歴史上、いろいろなヘアスタイルが流行し、身分や社会的地位と髪の毛の形が関連つけられていたこともある。一方、ジャンヌ・ダルクやマリー・アントワネットといった死刑を宣告された人々は処刑の前に頭髪をそり落とされた。アフリカの奴隷商人たちも移送する前に奴隷の頭を剃った。神聖さを表現するために髪を切ることも行われてきた。

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