太った男を殺しますか?――「トロリー問題」が教えてくれること (atプラス叢書11) の感想

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タイトル太った男を殺しますか?――「トロリー問題」が教えてくれること (atプラス叢書11)
発売日販売日未定
製作者デイヴィッド エドモンズ
販売元太田出版
JANコード9784778314842
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

◆トロリー問題:ケース1◆
ブレーキの利かない列車が暴走している。列車の前方には5人が線路に縛りつけられている。このままではこの5人は轢死する。幸い、列車と5人の間には分岐線があり、そこに列車を引き込めば5人の命は救われる。しかし、ここには思わぬ障害がある。分岐線には1人の人が線路に縛り付けられているのだ。そしてあなたは方向指示レバーの傍らにいる。レバーをそのままにすれば5人が死に、レバーを倒せば1人が死ぬ。あなたはどうするか?

実験結果が示すのは、多くの人が「レバーを倒す」を選択するということ。功利主義的な発想であり、5は数で1を上回ります。ゆえに1人は犠牲になるが、5人を救う方を選択するのです。では、以下のケースではどうでしょうか。

◆トロリー問題:ケース2◆
ブレーキの利かない列車が暴走している。列車の前方には5人が線路に縛りつけられている。このままではこの5人は轢死する。列車と5人の間には跨線橋があり、いま、1人の太った男が橋から列車の様子を眺めている。あなたはこの男の後ろにいる。もしこの男を突き落し列車と衝突させれば、男は死ぬが列車を止めることができ、5人は助かる。あなたはどうするか?

興味深いのが、ケース1で「レバーを倒す」と選択した被験者の多くが「男を倒さない」と答えていることです。男を倒す選択をしたところで「1人を犠牲にするが5人を救う」という点ではケース1と同じ。にもかかわらずなぜ差が出るのでしょうか。

フィリッパ・フットが提起した「トロリー問題(The Trolley Problem)」は、多くの哲学者、倫理学者、経済学者などによって幅広く考察されてきました。本書はその浩瀚な考察の要点をまとめ、数多くの事例を示しながらこの道徳的ジレンマに向き合います。

一見、非現実的に見えるこの問題。しかしこのジレンマは多くの場面で顕在してきました。たとえば、本書の第一章で扱われている「チャーチルのジレンマ」が、このトロリー問題の構造を浮き彫りにしています。

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