街道をゆく (2) (朝日文芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル街道をゆく (2) (朝日文芸文庫)
発売日販売日未定
製作者司馬 遼太郎
販売元朝日新聞社
JANコード9784022601728
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

購入者の感想

この本が書かれたのは40年以上前、韓国は現大統領の父親である朴正煕による軍政下にあった。漢江の奇跡と呼ばれる経済発展はまだまだ先の話であり、司馬遼太郎が見た韓国は、現在とはまるで異なる国だったと思ってよい。だから、韓流エンタメが好きで韓国にはまった人にとっては、この本で描写される韓国は全く別世界であろう。

しかし、現在親韓反韓双方の立場から多くの韓国本が出版されているが、該博な歴史知識に裏打ちされた韓国人の民族性に関する分析は、その洞察の深さと正確さで他の追随を許さない。儒教文明の韓国への影響についてはしばしば言及されるが、常に正装の儒教にどっぷりつかった韓国と、「ふんどし一丁で刀を片手にどっしと座る」ハダカの倭人(日本人)との比較は、司馬遼太郎ならではだろう。文明のもたらす秩序とそれと裏返しの異論を認めない窮屈さを、非常にわかりやすく、ユーモアに満ちた描写で表現している。

本書は儒教の韓国への影響について語りながら、さらに朝鮮民族の民族性への分析へと発展させる。その朝鮮半島の歴史や現代(執筆当時)の韓国を実情に基づく分析は、穏やかな表現でオブラートにくるんではいるが実に鋭い。「朝鮮人は現実よりも観念に興奮する」というくだりなどは、歴史問題などで日本と対立する韓国人の有り様を一言で現わす、寸鉄人を刺す表現だと言える。韓国関連本は数多あるが、これ以上的を射た表現を私は知らない。

ただし、この本は決して韓国批判本ではない。古き良き韓国への憧憬と、韓国人が現在のようなありようにならざるを得なかった宿命へのシンパシーに溢れている。筆者の体験したほのぼのした韓国の農村の風景など、いままだこのような場所が残っているのであれば、私もぜひ行ってみたいと思えるような描写も数多い。

韓国と日本のつながりは興味深い。特に九州在住の自分にとっては、九州と韓国の文化の縁深さに日々、驚かされることばかりだ。実際、九州の方言には、まるまる韓国語を模したものが散見される。食文化も共通点が多い。冷汁などはそのいい例だろう。
本著、韓のくに紀行では、司馬遼太郎が10代の終わりごろから行きたかったという韓国を自由気ままに旅している。
興味深かったのは沙也可のくだりだ。文禄・慶長の役において、日本軍から韓国に降った武将がいて、その子孫が未だ韓国の田舎に暮らしているというのである。その村では、伝承として自分たちの先祖が日本人であるという言い伝えが残っているらしく、そこを司馬さんが訪ねている。
加羅の旅、新羅の旅、百済の旅の3部構成。紀行文でありながら、読み応え十分の歴史ミステリー。これまでの日韓関係をよく知る上でも、ぜひ読んでいただきたい一冊。

お隣の国なのに、あまり知らない韓国のことが知りたくて、読んでみようとしました。司馬遼太郎さんの街道を行くシリーズの本です。その土地土地を実際に訪ねて、歴史を振りかえるシリーズで、とても面白いです。紀行文の楽しさと、歴史の解説と両方楽しめる構成になっています。この本を読むと長い歴史的視点でみると韓国と日本は非常に近い関係にあったことがわかります。早く両国が真に仲良くなることを今までよりより強く感じさせてくれました。シリーズの他の本と比べて、一冊全部からの国で、面白かったです。

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