日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1 の感想

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タイトル日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1
発売日販売日未定
製作者ヨーゼフ・シュンペーター
販売元日経BP社
JANコード9784822251598
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

シュンペーターが示す資本主義崩壊の原因が、今の時代を予見しているようで示唆に富む。大企業の独占化と官僚化、起業家によるイノベーションの減退、資本主義を支える農民、小資本家の没落をブルジョアが促進すること、により資本主義はゆっくりと崩壊していくと説く。ブルジョアから「家」意識が気薄になることが、資本主義没落の要因となることを挙げているところは彗眼だと思った。少子化や資源の枯渇、環境破壊、AI化、金融化が急速に進む現在、労働者に革命的役割を演じさせるマルクスよりも、シュンペーターの言葉の方がよりリアルに感じられる。

マルクスを徹底的に批判しているのに、結論は一緒というのも面白い。「資本主義の非常な成功こそがそれを擁護している社会制度をくつがえし、かつ、『不可避的に』その存続を不可能たらしめ、その後継者としての社会主義を強く志向する事態を作りだす」、論理を突き詰めるとそうならざるを得ないということらしい。社会変革に至る「段階」がイメージできない人には収穫の多い書物になる。逆を言えば、どのような手段を取るにせよ社会変革に至る段階のイメージを与えられている人が読むと、思想的にグラつく可能性がある。

シュンペーターは将来、イノベーションを学問的に基礎づけた経済学者としてより、革命理論家として評価されるかもしれない。革命こそ究極のイノベーションといえなくもないので、シュンペーターもその方が本望かもしれない。

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