悪意の手記 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 悪意の手記 (新潮文庫) |
発売日 | 2013-01-28 |
製作者 | 中村 文則 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101289540 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » な行の著者 |
購入者の感想
この「悪意の手記」は、中村文則さんのデビュー作「銃」から「遮光」を経て出された第三冊目の小説ということになる。しかし、私が読んだ順番は「掏摸」が最初で、その後「悪と仮面のルール」、それからデビュー作「銃」に戻り、私を救った「何もかも憂鬱な夜に」を経て、「遮光」「教団X」「あなたが消えた夜に」「土の中の子供」「王国」と遠回りして、この「悪意の手記」に至っている。
この作品にたどり着くまでに時間がかかったのは、ストレートな題名にその悪意の正体に触れてみる勇気がまだなかったことと、題からドストエフスキーの「罪と罰」が連想され、既にそのテーマには触れている気がしていたので、まだ必要になるまでは読まなくてよいと敬遠していたからだ。しかし、私の本好きの友人に中村文則さんを薦めたところ、先にこの本を読まれて、とてもよく出来ているから読んだほうがいいと逆に薦められ、また最近読んだ姜尚中さんの「悪の力」でも、この「悪意の手記」が引用されていたため、そろそろ読む時期が来たのかなと思い、手に取ることにした。
読み終わって、やはり今読むべき作品だったなと感じた。
小説を読むのにも、タイミングというものがあると思う。読む時期ではない時に読むと、何も心に引っ掛からず、場合によっては嫌悪すらする。しかし、ここぞという時期に読むと、心を救われたり、ずっと息詰まっていた問題の解決の糸口が見えたり、読んで本当に良かったと愛着が湧き、その作品が自分の中で旗印となる。
ではいったい、そのタイミングはどうやって見つけるのかと問われれば、それは常にアンテナを張っているしかない。それを強く欲すること、その想いがあれば自然とあちらからこちらへとやってくるだろう。そうとしか答えられない。
そして、この「悪意の手記」も、向こうからやって来てくれた作品だった。
この小説には、人を殺してしまったことに苦しみ、それでも生きる意味はあるのかともがく姿が描かれている。なぜ、それをテーマに描いたかはあとがきを読めば理解できるだろう。
私も以前、「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマで短い小説を書いたことがある。
この作品にたどり着くまでに時間がかかったのは、ストレートな題名にその悪意の正体に触れてみる勇気がまだなかったことと、題からドストエフスキーの「罪と罰」が連想され、既にそのテーマには触れている気がしていたので、まだ必要になるまでは読まなくてよいと敬遠していたからだ。しかし、私の本好きの友人に中村文則さんを薦めたところ、先にこの本を読まれて、とてもよく出来ているから読んだほうがいいと逆に薦められ、また最近読んだ姜尚中さんの「悪の力」でも、この「悪意の手記」が引用されていたため、そろそろ読む時期が来たのかなと思い、手に取ることにした。
読み終わって、やはり今読むべき作品だったなと感じた。
小説を読むのにも、タイミングというものがあると思う。読む時期ではない時に読むと、何も心に引っ掛からず、場合によっては嫌悪すらする。しかし、ここぞという時期に読むと、心を救われたり、ずっと息詰まっていた問題の解決の糸口が見えたり、読んで本当に良かったと愛着が湧き、その作品が自分の中で旗印となる。
ではいったい、そのタイミングはどうやって見つけるのかと問われれば、それは常にアンテナを張っているしかない。それを強く欲すること、その想いがあれば自然とあちらからこちらへとやってくるだろう。そうとしか答えられない。
そして、この「悪意の手記」も、向こうからやって来てくれた作品だった。
この小説には、人を殺してしまったことに苦しみ、それでも生きる意味はあるのかともがく姿が描かれている。なぜ、それをテーマに描いたかはあとがきを読めば理解できるだろう。
私も以前、「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマで短い小説を書いたことがある。