通州事件 日本人はなぜ虐殺されたのか の感想
参照データ
タイトル | 通州事件 日本人はなぜ虐殺されたのか |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 藤岡信勝 |
販売元 | 勉誠出版 |
JANコード | 9784585221869 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
80年前の7月29日、一夜にして日本人居留民 200数十名が惨殺されるという血も凍るような事件につき、「通州事件アーカイヴス設立基金」の代表である藤岡信勝氏を初めとする6氏が行った連続講演を収めた本。或る程度の期待を寄せていたものの、通州事件そのものについて論じているのは、初めの藤岡氏と2人目の阿羅健一氏くらいで、3人目の北村稔氏から6人目の三浦小太郎氏までは、事件とは直接関連しない事柄ばかりを採り上げており、焦点がぼやけているとの思いを禁じ得ない(阿羅氏も、南京事件などという架空の事件を頻りに引き合いに出しており、ややずれている)。この辺りは、どういう内容の話をするかという点について、講演者と藤岡氏との間で事前の摺り合わせが十分行われていなかったのではないのか、という感じを受ける。
ただ、3人目の北村氏の講演は、中国人の精神構造や個人と権力の関係などについて鋭い指摘がなされており、この点には興味が惹かれた。6人目の三浦氏の講演も、南モンゴルでのジェノサイドで行われたことは、通州事件の繰り返しである、と指摘し、あの国の人間の変わらぬ国民性を理解する上では参考になる(ただし、急いで文字起こしが行われたためか、変換ミスが多い)。
5人目の田辺敏雄氏の講演に至っては、全くわけが解らない。中国が主張する日本軍による残虐事件を悉く否定していながら、自ら調査し、本も出したという平頂山事件については、田辺氏の岳父が首謀者であるとされていることに疑問を覚えたのが調査を始めるきっかけとなったと書きながら、そのような事件が実際にあったと断定している。果たして信頼に値する資料に当たったのかどうかも疑問だし、この事件以外の中国が主張する作り話と一切区別を付けずに論じている点にも首を傾げる。
全体に、『通州事件忘るまじ!』という藤岡氏の熱意が、他の講演者に共有されていないように感じられ、講演者の人選という点からも詰めが甘かったように思われる。
ただ、3人目の北村氏の講演は、中国人の精神構造や個人と権力の関係などについて鋭い指摘がなされており、この点には興味が惹かれた。6人目の三浦氏の講演も、南モンゴルでのジェノサイドで行われたことは、通州事件の繰り返しである、と指摘し、あの国の人間の変わらぬ国民性を理解する上では参考になる(ただし、急いで文字起こしが行われたためか、変換ミスが多い)。
5人目の田辺敏雄氏の講演に至っては、全くわけが解らない。中国が主張する日本軍による残虐事件を悉く否定していながら、自ら調査し、本も出したという平頂山事件については、田辺氏の岳父が首謀者であるとされていることに疑問を覚えたのが調査を始めるきっかけとなったと書きながら、そのような事件が実際にあったと断定している。果たして信頼に値する資料に当たったのかどうかも疑問だし、この事件以外の中国が主張する作り話と一切区別を付けずに論じている点にも首を傾げる。
全体に、『通州事件忘るまじ!』という藤岡氏の熱意が、他の講演者に共有されていないように感じられ、講演者の人選という点からも詰めが甘かったように思われる。