知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書) の感想

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タイトル知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者矢部 宏治
販売元講談社
JANコード9784062884396
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 米軍ヘリコプターから重い窓枠が外れ、子供たちのすぐ近くに落ちた。一歩間違えば命が失われる可能性があったにもかかわらず、一週間にも満たない飛行停止のみでそれ以上に大した罪に問われることもない。
 なぜこういうことが可能になるのか?本書は詳しく説明してくれている。
 かつてドワイト・アイゼンハワーは大統領退任前の演説で、アメリカの軍産複合体が民主主義への重大な脅威になりうるという警告を発した。
 アメリカはその巨大な軍産複合体を維持するためにも、世界各地へと軍事展開していかざるを得ないのだろう。
 それにしてもマグルーダー陸軍少将が作成した旧安保の原案が、半世紀以上経た現在でもまだ密約の力によって「生き残っている」というのは衝撃的だ。
 このような状況では、例えば北朝鮮が日本を攻撃して米軍がそれを「脅威」あるいは「有事」とみなせば、日本の自衛隊は米軍に従う形で戦わざるを得なくなるだろう。日本の国民が戦争を望もうが望むまいがそんなことは関係ない。ただもうアメリカの都合でアメリカの自由になるコマとして自衛隊は使われることになる。「自主防衛」とはほど遠い状態が出現するだろう。それが「指揮権密約」の意味するところだ。
 憲法9条を少々いじってみたところで、この事態を変化させることはできないだろう。なぜなら砂川裁判の判例があるために、憲法そのものが事実上の機能停止状態に陥っているのだから。
 中には、米軍に軍事・防衛上の主権を引き渡してしまったこの状態を「そんなに悪くない」と言って受け入れる向きもあるだろう。
 軍事・防衛上の対応をすべてアメリカにやってもらえば、日本はより平和的な経済活動に専念できるというわけだ。
 しかしアイゼンハワーが警告したように、軍産複合体は民主主義への脅威になりうるのだ。
 日本も例外ではないだろう。
 著者も言っているように、砂川判例があるために、軍事面だけでなく他のあらゆる面で日本政府が非民主的に暴走しかねない条件がもうすでにできてしまっているのだから。

 
 

たとえば、北方領土を返してくれない理由に気づく。
立場を置き換えて考えれば、当然、返したくない。
今の交渉スタイルでは、日本がどんなに金をかけようが、時間をかけようが、全く無意味・無意義。
進展が起こる可能性は、ゼロだろう。
憲法の上を行く=超法規=存在の地位協定や日米合同委員会の撤廃がなければ
日本は、真の独立国には成り得ない。
今回、トランプが羽田ではなく横田に降りたことも、
単に保安上の問題ではなく、日本には日本の主権の及ぶ日本の領空は無く、
おまえ達には、領空・制空権(=日本の主権)は、一切ないと「日本人に解らせる」行動だった。
真実を観ようとしない政権が続く限り、日本の独立は無いと思えた。

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』等の著作で知られる矢部さんの新書本。
これまでに矢部本や『「日米合同委員会」の研究:謎の権力構造の正体に迫る』など戦後再発見叢書を読んできたので、日米合同委員会の存在や日米地位協定の異常性や砂川事件判決における最高裁へのアメリカ介入などについてある程度前知識はありましたが、改めてまとめられて一読すると、やはり衝撃を受けます。安保条約と地位協定、日米密約が憲法に優越し、憲法と三権分立が適正に機能しておらず、その結果アメリカ軍は日本の上空を自由に飛行し、自由に基地を作り、治外法権をほしいままにし、有事の際には自衛隊を指揮して戦うというのですから。
 基地問題においてはとりわけ、アメリカ軍に対する日本の従属状態が剥き出しになります。米軍基地設置には国内に根拠法がなく、閣議決定と条約、日米合意だけを根拠にしていると木村草太さんの『憲法という希望』にもありましたが、実際日米合同委員会で決められた密約や密談が憲法に優越し、日本は基地建設に異議を唱えても法的に認められず、アメリカ軍の許可なくオスプレイ墜落事故現場にさえ入れず、軍属の人間が犯罪を犯しても国内法で適正に裁くこともできません。アメリカの駐日大使や元国務長官からさえ「異常な関係」と言われる日米関係が、1952年のサンフランシスコ講和条約締結以降「日本は半分主権国家」という形で今日まで続いてきたのです。
 自衛隊は安倍政権のもとで今後ますますアメリカ軍と共同訓練を積み、海外に派兵され、中東やアフリカで戦闘に加わる危険が高まります。自分の国を守るためでもなく、海外で国際法違反の戦争さえたびたび行うアメリカ軍の先兵として敵を作り、恨みを買い、平和国家としての信頼を失い、テロの危険は増加します。武器輸出も盛んになってきています。日本国民はこれでいいのでしょうか。
 日本という国の形を考えるため、憲法改正論議の前に一読しておく必要のある本だと思います。一人でも多くの人に読んでいただきたいです。

著者のこれまでの著書のエッセンスを凝縮したような本書。衆議院選挙を前にした今、全ての人が読んでみることを強くオススメします。

この国を良くするにはどうすればいいのか、その果てしない道のりを考えると絶望と無力感にとらわれる。でも知ることが大事な一歩だと思う。

本書で指摘されている問題に触れずして、今後の日本の未来など語れないだろうが、そのことに触れている候補者も政党も誰もいないように見受けられる。何のための選挙か、最早、茶番劇にしか見えない。
この問題を解決しない限り、「日本を取り戻す」ことなんて不可能だろう。
自民党は保守という位置づけだが、この問題を知ったうえで米国に追従しているのであれば、彼らは保守どころか、右翼の大好きな言葉「売国奴」である。

本当の意味での戦後を終結させるためには、この問題に一人一人が向き合い声を上げていくしかないだろう。

本書は、著者が『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』などの自著、または企画編集した「知の再発見」シリーズ等の、米軍による日本支配の構造を知るために極めて重要な本で紹介してきた内容を簡潔にまとめて読みやすい新書版にしたものである。著者の7年間に渡る研究成果の集大成である。
初めてこれらの情報に触れる人にとって、本書はまさに衝撃以外の何物でもないだろう。なおかつ堪らなく面白い。

帯に「9つの掟」とある。その9つとは恐らく9つの章を指しており、それぞれの章で取り上げられているのは以下の内容である。

1.日本上空に設定された飛行禁止区域
2.日本の全国土は米軍の治外法権下にある
3.米軍にとって日本との境界はない
4.米軍幹部と日本の官僚が月2回話し合う日米合同委員会が在日米軍の在り方を決めている、
5.日本国民に示せない内容は密約にし、それを実行するための裏マニュアルを作成し運営する
6.日米安保条約は憲法の上位にある
7.降伏文書、憲法など重要な文書の原案はアメリカが英語で作る
8.自衛隊の指揮権は米軍にある
9.在日米軍は「国連軍の代わり」という詐欺的論理で駐留し続ける

いずれも大多数の国民にとっては初耳の驚くべき内容であろう。しかし、これまでの在日米軍と日本政府との異常な関係性を見聞きして感じてきたであろう様々な疑問にものの見事に応えてくれる内容でもあるはずだ。
ここで詳細を語るには「話せば長い」内容なので、ごく簡単にエッセンスだけ書き出す。詳細については本書をぜひ読んで欲しい。

・日本の上空には、未だに米軍が制空権を握る空域が首都圏を含めていくつかある
・米軍は日本のどこにでも好き勝手に基地を置ける
・「砂川裁判」により、最高裁は在日米軍や原発などの「高度に政治的な内容」に関しては判断をできなくなっている。つまり日米安保条約は憲法の上にある。
・自衛隊の指揮権は米軍が握っている
・憲法9条の戦力放棄は、実現しなかった国連軍が世界の警察として機能することを前提として書かれた

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