東京郊外の生存競争が始まった! 静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ (光文社新書) の感想

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参照データ

タイトル東京郊外の生存競争が始まった! 静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ (光文社新書)
発売日2017-06-15
製作者三浦 展
販売元光文社
JANコード9784334039950
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

著者は2012年に『東京は郊外から消えていく!』を出している。それまで人口流入が続き、それ以前から人口流出が続いてきた他の地方都市とは違い唯一成長が続く首都圏も郊外から人口減少に向かっている実態を統計資料から明らかにして、論議を引き起こした。そして5年後、問題は人口減少だけではなく、微視的に見れば首都圏の諸都市の間には顕著な格差が生まれつつあることを明らかにしたのが本書の前半である。同年代集団の人口が経年により移動していく状況を分析する手法をコーホート分析というが、詳細に圏内各地域の変化の諸相をこの手法によって分析し、その結果を分かりやすく解説しているのがこの書の前半である。その結果は簡単に言えば勝ち組と負け組みに分かれて生存競争が一層激しくなっているということであるが、本書の後半で著者は郊外再生の処方箋を明示しているのである。著者に対しては問題提起ばかりで救いがないという余り正鵠を射ていない批判がなかったわけではないが、ここには実に魅力的な提案が多数並べられている。それのエッセンスが「静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ」という副題に凝縮されている。著者は本書をこれまで長く続けてきた郊外研究の集大成と位置づけている。ここに示された処方箋は東京だけではなく、国内どこでも応用可能である。極めてポジティブな希望の書といってよいであろう。

東京近郊の人口動態をもとに、郊外の発展を提唱する本です。関東圏在住者なら、今後の住む場所や生き方を考える上で大きな示唆を与えてくれるガイドブックとなると思います。特に神奈川県、埼玉県、千葉県の比較は、以前から言われていたことがデータとして示されており興味深かったです。在宅勤務や優良な飲食店という娯楽が増えることが郊外発展のカギとなると訴えており、働き方改革ともつながる内容です。

著者の本を読むのは『下流社会』以来ですが、当時は豊富なデータを分析して現代社会の抱える問題を快刀乱麻していく様に大きな衝撃を受けたものです。しかし、本書ではその切れ味が失われているように感じました。特に本書の大きな部分を占めるのが図表とその解説なのですが、説明が単調で徐々に頭に入らなくなってきてしまいました。また著者も判読できない点については正直に「理由は分からない」と書いていますが、仮説でもいいから解読を試みようとするのが専門家の本分ではないでしょうか。

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