歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫) の感想
参照データ
タイトル | 歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | アーネスト・R. メイ |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784006001209 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 国際政治情勢 |
購入者の感想
1973年に原著が出版されているが、外交史に関しては研究が進んでいるとしても、なお読みつがれる価値がある本である。本書では第二次世界大戦、冷戦、朝鮮戦争、そしてベトナム戦争に関して、アメリカが陥った外交上の過ちを資料を通じて考察してゆく、というものだ。そして第二部でその分析を踏まえて提言を行う、という構成になっている。取り上げられている四つのトピックに関しては今なお関心を誘うテーマであり、題材としては興味深い。著者はリベラルな立場の学者なので、最初からリアリスト外交に対しては批判的な態度を貫いていることは注意しておいてよい。
著者の言う通り、外交を決めるにあたっては過去の歴史は欠かせないものであり、それは国際関係論の創始者の一人、E.H.カーも力説しているところである。このような立場からの「歴史政策学」は大変重要な学問だと思われるが、ろんた氏も言われる通り実際の政策にそれがどの程度生かされるのかは疑問な点もある。ロナルド・タカキ氏の「アメリカはなぜ日本に原爆を投下したか」を見ても、原爆投下という大変重要な政治的決定も、外交レベルだけで行われているわけではなかったのが現実なのである(タカキ氏の説は、トルーマンが「男らしさ」を誇示する必要があったというもの)。
最後に、第六章の末尾、9.11を予言するような一節は注目される。心あるひとはアメリカの政策の結末が見えていたのではないか。
著者の言う通り、外交を決めるにあたっては過去の歴史は欠かせないものであり、それは国際関係論の創始者の一人、E.H.カーも力説しているところである。このような立場からの「歴史政策学」は大変重要な学問だと思われるが、ろんた氏も言われる通り実際の政策にそれがどの程度生かされるのかは疑問な点もある。ロナルド・タカキ氏の「アメリカはなぜ日本に原爆を投下したか」を見ても、原爆投下という大変重要な政治的決定も、外交レベルだけで行われているわけではなかったのが現実なのである(タカキ氏の説は、トルーマンが「男らしさ」を誇示する必要があったというもの)。
最後に、第六章の末尾、9.11を予言するような一節は注目される。心あるひとはアメリカの政策の結末が見えていたのではないか。