新ハムレット (新潮文庫) の感想

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It was a page-turner right from the start I think it’s one of the best books I’ve read all year long
One of my favorites read in 2018! ENJOY. DOES NOT DISAPPOINT.
I picked this Kindle First book on a whim yesterday due to the couple positive reviews. The story took me in and I literally couldn’t put it down today until I finished it.

これはシェイクスピアの原作より読みやすいですが、内容は深いです。
登場人物と設定、筋立てはかなり原作に忠実でありながら、全く別の物語となっています。

悩める多感な青年ハムレット
聡明で恋人に対して臆せずものを言うオフィーリア

原作でハムレットはオフィーリアに対し、
「尼寺へ行け」なんて言っていますが、
太宰版ではこうなります。
「小理屈を覚えた女は男に捨てられるぞ」
太宰のユーモアが満載です。
ハムレットが喜劇になってしまう？
とハラハラする場面もありますが、これは悲劇です。
かなり深刻な悲劇です。
「生きているすべての人間が可哀想だ」
と、ハムレットは言います。
いちばん可哀そうなのは悪人かもしれません。
また、これは反戦小説という側面もあります。
あからさまではありませんが、当時の背景を考えながら読むと明らかに反戦のメッセージが込められています。
当時読んだ人の中でとれだけの人が気がついたでしょうか。

共に収録されている「乞食学生」も味わい深い小説です。
いつの間にか夢を見ていた、という設定は「不思議の国のアリス」を思い出させます。
ほろ苦く少し残酷な物語です。

「待つ」これは傑作です。
ほんの2～3ページの短編ですが、絶句するほかありません。

天才作家、太宰の力量に感服しながら読みました。

これは面白い。
純文学でありながらこれ程読者を楽しませるサービス精神旺盛な小説は数少ないと思います。
ただし、シェイクスピアのほうを読んでからというのが大前提です。
これは、作品そのものも面白いですが、偉大なるシェイクスピアの荘厳な悲劇を、太宰がどのような顔をして料理したのか、それを想像するのも醍醐味なのです。
大真面目な顔？
あるいはニヤニヤと？
もしかしてハムレットが喜劇になってしまう？とハラハラする場面もあり。
太宰のユーモアと皮肉が満載です。

この小説は太宰の小説家としての活動期の中で所謂中期にあたる時期に書かれました。
この時期太宰は最も安定していて、豊かな才能を次々と開花させて行き、「人間失格」のイメージとはおよそかけ離れた明るい作品を次々と発表して行きました。
この時期はおそらく幸せであったに違いない、とファンなら願わずにはいられません。
この時期の太宰の様子を想像することはファンである私には大きな喜びです。

共に収録されている短編からも、太宰が多彩な作風を有していたことがわかり、改めて太宰の作家としての力量を再認識させられます。
中でも「乞食学生」は不思議な小説です。
ほろりとしたい方にはこちらをお薦めです。