暗殺の森 [DVD] の感想
参照データ
タイトル | 暗殺の森 [DVD] |
発売日 | 2012-06-23 |
監督 | ベルナルド・ベルトルッチ |
出演 | ジャン=ルイ・トランティニャン |
販売元 | 紀伊國屋書店 |
JANコード | 4523215076609 |
カテゴリ | DVD » ジャンル別 » 外国映画 » ドラマ |
購入者の感想
モラヴィア×ベルトルッチという20世紀のイタリアを代表する作家と映画監督の夢のようなコラボレーション。
アルベルト・モラヴィアの作品は『倦怠』『深層生活』『金曜日の別荘』など様々な監督が映画化していますが、性を磁場にした退廃性のせいかポルノグラフィー的な解釈をされたものも多く、唯一原作の品格を損なわずに最高の状態で映画化されたと思うのがこの『暗殺の森』です。
流麗なカメラワークにドラマチックでありながら行き過ぎない演出、素晴らしいセットと衣装、そしてフランスを代表する映画音楽家ジョルジュ・ドルリューによるオリジナルスコア・・・一切が手抜きなく、ヨーロッパらしい映像芸術の醍醐味を感じさせてくれます。
好対照な魅力で光を放つドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリという華やかな女優陣に対し、内省的でインテリジェントなイメージのジャン・ルイ・トラティニアンという配役もいいですね。性倒錯者の役でちらっと顔を出すフランスの個性派俳優ピエール・クレマンティ(『昼顔』『豚小屋』etc.)も素敵!
有名なタンゴのシーンの他どこをとってもフォトジェニックで、古いモード雑誌でも眺めるようなお洒落さも感じます。
ファシスト政権に弾圧を受けた作家が書いたイタリアの現代史ともダブるストーリーですが、たとえ政治色の強いストーリーに共感できなくとも、映像だけでも十分に楽しめるところは監督の優れた手腕じゃないでしょうか。
ベルトルッチは『ラストエンペラー』あたりから個性に乏しくグローバル化し、残念ながら私にはもはや興味のない監督になってしまいましたが、’70年代頃の様式的で耽美で感傷的な作品の数々は彼らしくて大好きです。感情表現の激しさと豊かさはラテンの気質ならでは。ファッションやデコレーションに対する美意識の高さもイタリア人らしいと思います。
アルベルト・モラヴィアの作品は『倦怠』『深層生活』『金曜日の別荘』など様々な監督が映画化していますが、性を磁場にした退廃性のせいかポルノグラフィー的な解釈をされたものも多く、唯一原作の品格を損なわずに最高の状態で映画化されたと思うのがこの『暗殺の森』です。
流麗なカメラワークにドラマチックでありながら行き過ぎない演出、素晴らしいセットと衣装、そしてフランスを代表する映画音楽家ジョルジュ・ドルリューによるオリジナルスコア・・・一切が手抜きなく、ヨーロッパらしい映像芸術の醍醐味を感じさせてくれます。
好対照な魅力で光を放つドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリという華やかな女優陣に対し、内省的でインテリジェントなイメージのジャン・ルイ・トラティニアンという配役もいいですね。性倒錯者の役でちらっと顔を出すフランスの個性派俳優ピエール・クレマンティ(『昼顔』『豚小屋』etc.)も素敵!
有名なタンゴのシーンの他どこをとってもフォトジェニックで、古いモード雑誌でも眺めるようなお洒落さも感じます。
ファシスト政権に弾圧を受けた作家が書いたイタリアの現代史ともダブるストーリーですが、たとえ政治色の強いストーリーに共感できなくとも、映像だけでも十分に楽しめるところは監督の優れた手腕じゃないでしょうか。
ベルトルッチは『ラストエンペラー』あたりから個性に乏しくグローバル化し、残念ながら私にはもはや興味のない監督になってしまいましたが、’70年代頃の様式的で耽美で感傷的な作品の数々は彼らしくて大好きです。感情表現の激しさと豊かさはラテンの気質ならでは。ファッションやデコレーションに対する美意識の高さもイタリア人らしいと思います。