バリュエーションの教科書 の感想

内容については、先行する立派な書評がありますので、割愛します。

「読み手」を選ぶ本だと思います。
まず、PVもNPVも知らない、普段財務三表も見てない人にとっては、読み通せないと思います。初心者向けのテキストではありません。

内容は、PERが実は有名なDCFの現在価値を求める公式、PV＝C/（r-g）の、1/(r-g) の逆数で、言わんとすることは同じ、など、理論を深堀りする部分と、M&Aの実際に即した実務に近い部分と、両面あります。　その意味で、１冊を通じ、一つのテーマに焦点を当てているものではなく、読み進みながら、今のテーマの位置づけを考える必要があります。
その意味でも、全くの初心者には不向きと思います。

本書では、第３章の「ＤＣＦ評価と倍率評価は、実は同じ」のように企業価値算定の本質等も学べますが、
最も勉強になった点は
・企業価値を正しく理解することが、社会にとって、必要なことである。
です。
この主張が一貫しており、大変勉強になりました。
M&Aにおいて、新しい視点を手に入れた感覚です。
DCFやWACC、オプションに関する基本的なことも説明してあるので、初心者でも読みやすいと思います。