気候変動を理学する―― 古気候学が変える地球環境観 の感想

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参照データ

タイトル気候変動を理学する―― 古気候学が変える地球環境観
発売日販売日未定
製作者多田 隆治
販売元みすず書房
JANコード9784622077497
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 地球科学

購入者の感想

地球が、今どのような状態にあり、それを気候変動から見ると、どうなっているのかが、複雑なシステムの組み合わせとして分かる、とても貴重な本だと思います。今年1月パタゴニアに行って、、削られて残った花崗岩のとんがった山々と、出来ては崩れる氷河を見たことで、氷床の崩壊を少し実感として想像してみられるような気がすることもあって、理解できるよう、必死になって、分からないところは何回も繰り返し読みました。そういう読み方をすることになった本は、最近なかったので、とても読み応えがありました。まだまだ、理解は不十分だと思いますので、理解を助け合う仲間がほしいなと思います。「地球温暖化」について根本から知りたいという方にお勧めしますし、読んだら理解を深め合う仲間になって頂きたいと思います。

東京大学大学院理学系研究科で、地球惑星科学専攻の教授を務める多田隆治氏が、一般市民を対象に講義を行った「サイエンスカフェ」の内容をまとめたもの。最新の知見、研究により得られた情報と、それらを合理的科学的に検証した経緯を紹介しながら、現時点で、遠視点的に地球環境について、どのようなことが考えられているのかをまとめている。

非常に面白い一冊である。氏は最後に今回の仕事を受ける背景について興味深いことを述べている。

(1)大気中のCO2濃度上昇に伴う地球温暖化に反対する見解の多くが、一方的な主張(解釈)のみを誇張した形で示しており、それを支持する証拠も都合がよいもののみを巧みに選び出していて、その提示の仕方が断片的あるいは抽象的であるため検証しにくい。一方、温暖化がすでに進行していると主張する側の説明は、一般により包括的、論理的ですが、内容は往々にして専門的で論理は複雑であり、専門外の人には難解に感じられる。

(2)地球温暖化が十分な科学的理論と根拠に裏付けられていることは、その道の専門家にとっては既成の事実であり、9割以上の学者が温暖化支持派だと思われる。残りの1割弱の科学者についても、その多くは、まだ証拠が十分でないとする慎重派で、CO2濃度上昇に伴う地球温暖化を全否定する科学者は1%にも満たないと思われる。にもかかわらず、マスコミは、しばしばこうした超少数派の意見を、温暖化支持派の見解と対等であるかのように扱う。マスコミに科学的見識を持つ人物が極端に少ないことも一因。

非常に鋭く有意義な指摘であろう。現在TV等でもてはやされる学者の中には、相当な眉唾の言説をしたり顔で主張する人物もいて、それをまた思慮の浅い番組(制作)が、もてはやしたり、面白がったりする。それを観た視聴者が、まったく見当違いの言説を鵜呑みにし、「自分だけは正しいことを知ってるぞ」といった感じになったりするのだから、困ったものだ。

少なくとも、本書のような“良書”と呼べるものを1冊読めば、そこそこ、幅の広い見方が出来るようになるだろうが、マスコミ情報の劣化というのは痛々しいものだ。(痛々しいだけで済めばいいのだが)

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みすず書房から発売された多田 隆治の気候変動を理学する―― 古気候学が変える地球環境観(JAN:9784622077497)の感想と評価
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