WIRED VOL.6 GQ JAPAN.2012年12月号増刊 の感想

今号の『WIRED』は、外国のコンピューターゲーム(以下、ゲーム)界隈の事情をまとめたレポート記事が充実している。

一連の記事からは、国内ゲーム業界が、携帯端末機用ゲームの収益性の高さの研究や、既存の知的財産権の保身にうつつを抜かしてきたこの数年間、外国ゲーム業界は、グラフィックスエンジンなど基礎技術の研鑚や、ハリウッドとの連携による事業経営の強靭化を行うことによって、確実に地歩を固めている状況をうかがうことができる。
また、携帯端末機用ゲームやインディーズゲームの分野では、マーケティングの巧拙もあるが、それらのゲームを手掛けるスタートアップ事業体の社会的な支援体制も、発展のカギを握っていることが見て取れた。その記事については、新規事業を起こしやすい社会風土とは言い難い日本の環境と比較して読むのも一興だ。
一方、ゲームをアートとして捉えて活動する人や現役プロゲーマーの密着レポートからは、ゲームを通して、日本と外国の社会、文化背景の違いを読める点が新鮮だ。

記事を読んだ後は、日本では、「子どもの遊び」と一蹴されがちなゲームだが、世界的に見れば、それは、悪い意味で「非常識」であることを感じるだろう。
個人的には、それが「確信」に変わるには十分な内容だった。
その意味では、本書は、ゲームというユニークな視野から世界を見た貴重な情報源といえる。

Angry Birdsってあんまり日本では流行ってない気がするのですが、世界ではそんなに儲けていたのですね〜。知らなかったです。パランティール・テクノロジーズの記事も面白かったなぁ。犯罪っぽい行動をビッグデータからうまく関連づけて取り出す会社ということのようです。なんて近未来！他では見ない興味引かれる記事が目白押しで480円は毎回安いと思います。クリス・アンダーソンが本家USの編集長でなくなってしまったのが多少心配ですが、日本版はこのままクォリティを保って続けて欲しいと思います。