いつでも山を―田部井淳子の実践エイジング登山 の感想

　母は山登りに関心がないどころか、運動も大嫌い。足腰を痛めているのでなおさらです。このままでは筋力が衰えるばかりと思い、プールに行くことをすすめているのですが、水着がない、プールに行くバスの時間がわからない、と言って拒否するばかり。

　そんな母にこの本を読ませたいと思った理由は、６８歳の田部井さんが励ましと共感の気持ちをこめて「背筋をのばして元気に年をとりましょうよ！」と語っているからです。山登りの実践ガイドというより、ふだんの暮らし方の提案として楽しく読める本だと思ったのです。
　山の本にしてはおしゃれでプレゼント向きだし、字も大きくて読みやすいです。

　実家に帰って手渡すと、イラスト入りのストレッチ講座が気に入った様子。「寝ながらできるのがわたし向き」と言うので、ここぞとばかり一緒にためしてみました。背中の筋肉が動いて肩こりにもいいみたい。母は週に１度、病院で牽引をやっているのですが「牽引するよりずっといい」とのこと。そうでしょう？　だましだまし本にはのっていない簡単な筋トレ法も教えました。私の作戦、とりあえず成功。

　翌日、電話がかかってきて、本を読み終えたと言ってきました。どうせ読まないだろうと思っていたのに、意外。体を動かすと心も気持ちよくなること、年をとってから新しいことに挑戦することの大切など、ふだんわたしが母に言っていることも、田部井さんの言葉を介するとすんなりと頭に入るようです。
　毎朝、本を見ながらストレッチをしてくれるかな？　あまり期待せずに、今度、家に帰ったら、聞いてみようと思います。