服従 の感想

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参照データ

タイトル服従
発売日販売日未定
製作者ミシェル ウエルベック
販売元河出書房新社
JANコード9784309206783
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » フランス文学

購入者の感想

 私の周りにはウェルベック好きが意外に多い。そうしてこの作家が好きだという人たちはみな、ウェルベックのことをキワ物、クセ者として捉えていて、だからこそ好きだというへそ曲りな読者が多い。荒唐無稽な設定や決して上品ではない性描写から、例えばノーベル文学賞を与えられるような正統派とは全然違うところが魅力であるらしい。
 一方でこの最新作の『服従』は、2015年の1月7日が本国での発売日だった。イスラム過激派に12人の編集者や風刺画家が射殺されたまさに凶行当日の紙面は、ウェルベックの顔が第一面を飾った。そこで彼はいかにも意地悪な毒舌家らしく醜く誇張して描かれていた。ウェルベックを知る人たちはその偶然にしては出来すぎの紙面をニュース映像で見て驚き、それ以外の人は一体これは誰だ、と思った。フランスにイスラム政権が誕生するという物語の設定と相まって、一冊の本としては異例なくらいのセンセーションを巻き起こしている。翻訳版の発売直後東京の大型書店では、最新の芥川賞作品2冊、直木賞作品1冊と並んで一番目立つところに平積みにされていたところもあった。又吉の受賞や秀作揃いの受賞作だったことから、大盛り上がりだった日本の出版界だが、そこに、話題のエンタメ系物語やビジネスの指南書なんかじゃない純然たる翻訳小説が肩を並べて売られていることはとても珍しい。

 今まで敬遠していたこのアクの強すぎる作家の作品を私が初めて読んだのも、やっぱりこの事件があったからだ。興味本位からの入り方だったと馬鹿にされても仕方ない。しかし、一読後の私の感想は、キワ物作家の話題作という印象とは全く反対極の、コレはヨーロッパの歴史と未来を大上段から捕えた正統派文豪の一大傑作ではないのか、というものだ。 
 そこまでの褒め言葉が相応しい作品かどうかは、ぜひ実際に読んで各々が判断してほしいのだが、私からは象徴的なシーンをひとつだけ紹介する。

 主人公の失職した大学教授が、イスラム政権発足後に就任したイスラム教徒の学長から改宗を迫られる終盤のシーンだ。主人公は、アラーに帰依すれば国立大学への復職も、元の3倍の給与も、何人もの妻を同時に持つことも可能になると勧誘される。

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