アルファベット・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) の感想

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参照データ

タイトルアルファベット・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
発売日販売日未定
製作者ユッシ・エーズラ・オールスン
販売元早川書房
JANコード9784150019006
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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デンマーク、コペンハーゲン警察署「特捜部Q」シリーズの作者ユッシ・エーズラ・オールスンの驚くべきサスペンスあふれるデビュー作である。

「著者あとがき」で<これは戦争小説ではない。>と言い、日常どこにでもある<人間関係の亀裂についての物語である。>と書くが本書の背景には重く、残虐な第二次世界大戦の非情な歴史の日々が描かれている。

「アルファベットハウス」とは通称でありナチスドイツの軍人専用精神病院をこう呼んだ。
ナチスは軍務につくすべての者を、身体的、精神的に軍務につけるか適応、不適応の分類を医療検査官により厳格に行い、アルファベットを用いてレッテルをはり管理していた。
不適合とみなされた記号をつけられた軍人たちが、負傷者も含めて収容されていた施設が「アルファベットハウス」なのだ。
その軍務適格、不適格の記号の詳細は本書巻末に付録として載っているが、恐るべき権力による人格の決めつけである。

さらに歴史を裏打ちするように約五十ものタイトルが「参考文献、出典」として列記されたこの物語は、二人のイギリス人兵士たちの波乱万丈な人生を描いた傑作小説である。

「第一部」 は第二次世界大戦末期。イギリス軍パイロット、ブライアン・ヤングとジェイ
ムズ・ティーズデイルはP51ムスタングで出撃するが、ドイツ領内で撃墜される。負傷しながらも生きていた彼らは極寒の中、投降するか場所も分からないドイツ領内で逃げ延びるかの選択をせまられる。

線路を見つけ飛び乗ったのは病院列車だった。傷病者の群れの中でも二人がイギリス人パイロットだとばれれば殺られてしまう。
<みな罪を犯しすぎて、慈悲心など容れる余地がないのだ。この狂った戦争に参加している者はみな。>
二人は気のふれたドイツ軍将校になりすますことに成功するが、彼らの収容先は「アルファベットハウス」だったのだ。

精神病患者の中で過ごす地獄の日々。薬物投与と電気ショックの衝撃。特にブライアンはドイツ語が分からず患者からも暴行を受け続ける。ジェイムズはドイツ語が分かるだけに無感情、無表情を貫き通すあまり真正の精神異常におちいってしまう。

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