イタリア歌曲集 の感想

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　ソプラノの声楽の先生から歌を習いはじめたころ、イタリア古典歌曲をまず習い、楽譜を購入した。そのとき、教材として購入したのがこのＣＤ。音程や符割の勉強のために聴く目的で、歌そのものを鑑賞しようとは毛頭思っていなかった。また、教材としては評価していても、歌手を評価しない声楽の先生もいた。
　その後、歌のレッスンは、近代歌曲や、カンツオーネ、オペラアリア等に移り、いつしかこのCDは聴かなくなってしまった。
　ところが最近、ある演奏会で久しぶりにイタリア古典歌曲を聴き、あらためてその魅力を認識させられ、その後有名な歌手のCDもいくつか聴いた。結構デフォルメして歌っていたり、楽譜にない装飾や、高音を見せ付ける歌手もいた。オペラチックに声の威力を見せ付けるような歌手もいた。そして久しぶりにこのCDを聴いたわけだが、こういうきっちりした音程と、楽譜通りに楷書のような、きっちりした品のある歌い方、そして、大音量ではないが、美しい響きを持った澄んだ声、これこそがイタリア古典歌曲の究極の魅力ではないかと思うようになった。シンプルだけど深い味わいがあり、聴けば聴くほど味がでてくる。単なる教材の枠を超えた素晴らしい作品だと思う。