大飢饉、室町社会を襲う! (歴史文化ライブラリー) の感想

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参照データ

タイトル大飢饉、室町社会を襲う! (歴史文化ライブラリー)
発売日販売日未定
製作者清水 克行
販売元吉川弘文館
JANコード9784642056588
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

 中世、室町時代前期は格差社会であると著者はいう。そこを大飢饉が襲った。
 四代将軍、足利義持の時代。年号は応永。社会は、公武のせめぎあう狭間に「室町期荘園制」という安定期を迎える。地方の富は荘園領主たる公家・寺社勢力、あるいは守護をはじめとする武家によって確実に収奪され、首都・京都に集積されていた。
 政権内では、高価な付け届けが応酬され、要人は宴席と仏事に明け暮れている。飽食と享楽の世界。
 一方、地方は慢性的な貧困と低生産にあえいでいた。
 著者は室町人の深刻な日常を映しだすエピソードを紹介する。そのうちの一つ。
 中世、古米は新米に比して高値であったという。なぜか。それは「古米の方が膨れて量が多くなり、おなかがいっぱいになる」からではないかという。「炊くと増える」から古米の方が高い。これは現代に生きる我々にとっては想像すら出来ない話。
 富の蓄積の乏しい地方を、天候不順による大飢饉が襲う。
 飢えた人々は流民となって京都に流れ込み、過密状態になった首都では疫病が流行。餓死者と疫病による死者で都の路地は死体で埋まる。
 人々は富が集積されている京都を目指した。持たざるものは、「有徳人」、すなわち持てるものに「徳」、つまり施しを求めた。が、膝を屈して恵みを請うたわけではない。それは時に暴力的になるほどエネルギッシュに、「徳」を求めたと著者はいう。
 やがて、それは形を変え、「徳政一揆」となり中世社会を揺るがすことになる。
 また、大飢饉のなか、人々は地域社会としての結束を深め、日本社会の基盤を形作ることにもなった。
 本書は、もと2008年の出版で、今年(2011年)に再版。いまこそ歴史に学ぶ秋(とき)。

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