縄文の思考 (ちくま新書) の感想

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タイトル縄文の思考 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者小林 達雄
販売元筑摩書房
JANコード9784480064189
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

縄文のように遺跡の発掘物から当時を伺うしかない「歴史と人」については、どうしても想像を逞しくするしかない。長年研究をしていると、自分の「縄文像」というものが出来上がり、ややもすると発掘されたもの以上の創造像になり、権威が言うから反論もなく、定説となってしまう。本書はそのような考古学の陥りやすい罠に用心していて、参考になる本だが、やはり首をかしげる記述も多い。
縄文の住居が「イエ」という意識を発達させるのに大きな貢献をしたという指摘はなるほどと首肯するのだが、その住居での語らいが物語になり、伝説になり、神話になった(9章)というのは何を根拠に議論展開しているのだろうか。
商習慣があったという説に反論して、「縄文社会は、そうした条件(商行為)の成立以前の段階にあるところにこそ縄文社会たる所以があるのであり、決して商人の生まれ出る気配すらない社会なのだ。」とは、誰がそんな定義をしたのか?(12章)
「縄文人の交易に底流するのは気っぷの良さ」というのは?
縄文人が山に登ったのは、山への畏敬の念―宗教的な意味もあろうが、山に登りたいから登ったという面を否定できるのだろうか。あれだけ自由奔放な土器を作っている縄文人であるから。
縄文人の思考について考察する本であるならば、観念的になってはならない。縄文人への思い入れから、ひとつの観方、考え方に拘泥してはならない。種々の視点から論じてもらいたかった。仲間の学者通しの論争に拘り、縄文への思い入れから自分好みの縄文人像を作る罠から本書も免れていないように思われる。

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