誤訳の常識 の感想
参照データ
タイトル | 誤訳の常識 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中原 道喜 |
販売元 | 聖文新社 |
JANコード | 9784792217105 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 語学・辞事典・年鑑 » 外国語学習法・旅行会話集 |
購入者の感想
本書の巻末に「誤訳の『構造』・『典型』に続く三部作の完結編」と記述されているが世に繚乱と乱れ咲く誤訳(本書2ページ)や訳者の手に余る厄介な部分を適当に省いた「手抜き」(同50ページ)をあら探しではなく真の読解力を読者に涵養させる目的で編述された本シリーズは他に得難く続刊を強く望みたい。
三部作を読んであらためて思うのは、誤訳(「手抜き」を含め)した訳者に対する著者の惻隠の心の余りか、誤訳対象の原作名・作者を一切表示しない配慮が読者から見ると過剰な配慮となっている場合があることだ。例えば本書の111ページ[66]にYou were never far from the country in England, thought Barrettの一文があり、正訳として「イングランドではどこにいても田舎を身近に感じる」を著者は示してくれる。味わい深いこのBarrettの述懐の背景について原文でもっと探りたくなるのは小生だけではないだろう。
その一方で、出所を伏して本書で採り上げられている小説だが過去に読んだ記憶があることからカズオ・イシグロ、Raymond Carverと偶々特定できた2作品があった。本書で指摘されている各訳者が犯した誤訳のひどさを考えると世上翻訳の名手とされているこの二人に過剰な惻隠の情を持つまでのことはなかろうにと思ったりもする。
三部作を読んであらためて思うのは、誤訳(「手抜き」を含め)した訳者に対する著者の惻隠の心の余りか、誤訳対象の原作名・作者を一切表示しない配慮が読者から見ると過剰な配慮となっている場合があることだ。例えば本書の111ページ[66]にYou were never far from the country in England, thought Barrettの一文があり、正訳として「イングランドではどこにいても田舎を身近に感じる」を著者は示してくれる。味わい深いこのBarrettの述懐の背景について原文でもっと探りたくなるのは小生だけではないだろう。
その一方で、出所を伏して本書で採り上げられている小説だが過去に読んだ記憶があることからカズオ・イシグロ、Raymond Carverと偶々特定できた2作品があった。本書で指摘されている各訳者が犯した誤訳のひどさを考えると世上翻訳の名手とされているこの二人に過剰な惻隠の情を持つまでのことはなかろうにと思ったりもする。