ワーニャおじさん (岩波文庫) の感想

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タイトルワーニャおじさん (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者チェーホフ
販売元岩波書店
JANコード9784003262221
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » ロシア

購入者の感想

擬似的な四角関係(エレーナを取り巻くセレブリャコーフ、ワーニャ及びアーストロフの男性3名)を軸に物語が展開する「四幕の田園生活劇」(7頁、127頁)。それぞれに心のなかに一物を抱えた登場人物たちの動静から一刻も目が離せず、次にどういう展開になるのか、半ばはらはらしながら最後まで一気に読み切った。人生の哀歓と立ち直りを描いたワーニャとソーニャの最終場面が印象的である。

「わたしは四十七になった。去年までは ・・・ 本当の人生を見ないようにし、それでいいと思っていた。そして今、あなたにはわかりもすまいが、悔しさ腹だたしさに夜も眠れずにいる!望めばあらゆるものに手が届いたはずの時間を、わたしは愚かにも無駄にした − 今となっては、手遅れなんだ!」(24〜5頁)

「ね、ワーニャおじさん、生きて行きましょう。長いながい日々の連なりを、果てしない夜ごと夜ごとを、あたしたちは生きのび、運命が与える試練に耐えて、今も、年老いてからも、休むことなく他の人たちのために働き続けましょう。そして寿命が尽きたら、おとなしく死んで、あの世に行き、「私たちは苦しみました、泣きました、ほんとにつろうございました」と申しあげましょう。神様は憐れんでくださるわ。・・・ あたしたち、ゆっくり休みましょうね!」(121頁)

小野理子氏の流麗な訳は大変読み易く、登場人物たちの分析を含むその有益な解説とも相俟って大いに愉しむことのできた一冊である。

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