東京電力 失敗の本質―「解体と再生」のシナリオ の感想

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参照データ

タイトル東京電力 失敗の本質―「解体と再生」のシナリオ
発売日販売日未定
製作者橘川 武郎
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492762004
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 資源・エネルギー

購入者の感想

この本自体は、2011年の10月末に出版されたこともあり、消化不良な箇所や再稼動に関する読みの甘さなども散見されるが、基本的には「原発反対」でも「原発賛成・推進」でもない。長年、業界研究を進めてきた学者ならではのニュートラルな良書。

著者の橘川武郎先生(一橋大学大学院商学研究科教授)が、TBSラジオ「Dig」でいいこと言っていた。(それで、この本を探して読んでみた訳。)

その「Dig」における発言を、簡単にまとめると、

1)最新式の天然ガス火力発電所を、廃炉する原発敷地近くに併設する。
→原発からの送電設備をそのまま使用できる。地元の雇用・経済も維持できる。

2)天然ガスの国内使用分共同一括購入。
→現在の輸入価格は石油価格と連動しており、新たなシェールガス等との価格差は5倍〜8倍。またガス会社の輸入価格は、今までは原発推進のため東京電力の政治力によって不当に高くされている可能性がある。

3)廃炉した燃料棒冷却と保存は、地層処分ではなく、目の見えるところで地上保管。

4)周波数変換装置の増設(50-60Hz問題の解決)と電力会社間連携設備(北海道−本州連携)の拡充。自由化推進による託送容量拡大によって突発停電を回避する。
→今の電力10社は事実上のカルテル状態で、協力も競争もない地域独占体制。

5)民間電力会社からの原子力発電事業切り離し。
→原発事故損害補償は民間会社には耐えられず、そもそも国策なのだから国が責任を取るべき。(電気代に加算するべきではない)

要は、政治決断の問題ですネ。技術的・経済合理的には可能じゃん。
1と2は本書に収録されていない。橘川先生の新刊を待ちたい。

他のレビューアと同様に、この本は技術について疑問符が付く点がいくつかある。きちんと書いてあるのは、電力産業の昭和20年代までで、あとは新聞レベルである。
また、発電と送電を分離すべきかどうかについて、本文では反対、討論の部分では賛成というように読める個所があり、かなりやっつけ仕事で書いた本の印象である。

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東洋経済新報社から発売された橘川 武郎の東京電力 失敗の本質―「解体と再生」のシナリオ(JAN:9784492762004)の感想と評価
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