上野英信・萬人一人坑―筑豊のかたほとりから の感想

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参照データ

タイトル上野英信・萬人一人坑―筑豊のかたほとりから
発売日販売日未定
製作者河内 美穂
販売元現代書館
JANコード9784768457375
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

たいしたものだ。一息に読ませてもらったぜ。もはや上野英信が語られる時代ではない。そう考えてたオイラを一撃してくれた。その姿に痺れ、語りに酔い、文体に惚れさせた英信さんから、どれほどの戦闘性を授けられたか。上野英信は筑豊にへばり付き生活の座から己の姿を撃ち続けた。このクニの火床に根拠を置いた言葉があいまいなものであろうか。発されるにせよ書かれるにせよ、その言葉にはいつも経済の高度成長を、都会の繁栄を支える底辺労働への視点の深さと愛が、そしてなによりも国策としての棄民への怒りがあった。この本を読み、改めて手元にある英信さんの本をひっくり返して思う。戦闘性を失って久しいオイラの腐り具合を。貧しさが社会の表面から消える、消された。それとともに怒り、社会的怒りも失ったのではないか?「闘うには貧しさが必要なのですか。貧しさがなければ闘えないなら、哀しいものです」英信の遺産をはやばやと食い潰してしまった身としては、英信さんの思いをいまなお継ぐ人々の姿、その生きのよさ、それだけでもこの本に価値がある。著者が取材を、英信さんは建大時代と被曝体験に、ほぼ全く触れていないのはナゼなのだとの疑問から始められたのがオイラには新しい見方。まったく予備知識なしに時代背景とも離れて英信を捉まえられる書き手が登場した。好ましい。オイラのような英信さんの同時代読者は、自身を方向付けたであろうこの二つの大きな経験には触れられないからこその上野英信だと考えてきたのではないかしら。書かれた中にではなく、その背後にあるもの、とりわけ加害と被害や赦しと憎悪の葛藤をなにほどか正しく読み取っていたはず。不平等な社会が許され、クニ全体のブラック化が進んでるいま、とりわけ福島原発事故への闘いが難しい時にこの本を導きとして英信さんを読む人がひとりでも現れたら著者も嬉しいだろう。オイラも新たな気持ちで読み直すぞ。民衆が自らの力で解放を闘いとる。そのために連帯し団結するのが英信さんと著者の共通の願いだろう。そこにオイラも加わるぜ。いい本を読ませてもらった。ありがとう。ナニ星をつけろと。ええいめんどくせい、ゆるせ。星は一つ。とことん酔わせる英信の文体との違いね。

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現代書館から発売された河内 美穂の上野英信・萬人一人坑―筑豊のかたほとりから(JAN:9784768457375)の感想と評価
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