石炭火力が日本を救う―CO2神話の崩壊 の感想

著者は前の著書で、CO2温暖化論の誤りを指摘したが、本書ではさらに論を進め、日本および世界のエネルギー・環境戦略選択の指針について、幅広い見地から検討を加えている。原子力についても、日本のとる核燃料サイクルの誤りを指摘し、国内においては石炭火力の推進を提唱するが、地震の無い国においては前著に引き続きトリウム熔融塩炉の有効性を説いている。プラント設計構築の経験に裏打ちされた専門家の議論には厚みが感じられる。そもそもCO2温暖化論に関しては科学分野としては成り立たないような不公正な議論の誘導が行われていたことが暴露されており、白紙に戻ってエネルギーの戦略を練り直す必要が求められる。