大衆の反逆 (中公クラシックス) の感想

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参照データ

タイトル大衆の反逆 (中公クラシックス)
発売日販売日未定
製作者オルテガ
販売元中央公論新社
JANコード9784121600240
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

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「政治を政治屋にまかせっきりにしてはいけない。国民は政治に参加せねばならない」よく聞く言葉です。ではどう参加したらよいか。この問いに答えるのは、難しい。しかしオルテガの炯炯とした洞察が、歴史を通じて問われてきたこの問いに、迫力ある答えをだしています。
 オルテガのいう「大衆」とは「庶民」とは違います。「大衆」とは「凡庸な精神が自己の凡庸であることを承知の上で、大胆にも凡庸なるものの権利を確認し、これをあらゆる場所に押しつけようとする」人々のことです。
 民主主義は、衆愚政治に陥りやすい。なぜなら、担い手は凡庸さに開き直り、あまつさえ、あらゆる場所にその凡庸を押しつけるから。この問題はプラトンも’指摘し、ニーチェが「最後の人間」に象徴したとおりですが、全く今この時代の課題でもあります。このどんづまりの状況をどうすればいいのか。
 オルテガは、「選ばれた少数派」の登場にかかっていると訴えます。選ばれた少数派とは、単なるエリートのことではありません。社会階層に関係なく「たとえ自分に課した高度の要求を果たせなくても、他人よりも自分に厳しい要求を課す」気概ある人達のことです。
 アングロサクソンにおいて、その気概は「ノブレス・オブリージ」となって表れ、我が日本では「武士道精神」となって花開きました。今の言葉を使えば、「公」に貢献し、「公」を護る意識に通じるのではないか。
 マキアベリの君主論が、「為政者のための政治手法の古典」とすれば、この本は「責任ある市民のための思考の古典」と言えると思います。「いかに統率するか」リーダーからの視点でなく、「いかに参加するか」という国民からの視点で書かれた政治参加論とも言えましょう。
政治論にとどまらず、文明と人間への秀抜な考察を加えています。この値段で、文明と人間の洞察のオンパレードを楽しめるなんて、読んでソンはありません!

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