増税時代: われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書) の感想

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タイトル増税時代: われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者石 弘光
販売元筑摩書房
JANコード9784480066930
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

シンプルで刺激的なタイトルである。世間で賛否両論様々な意見が交錯しているテーマでもある。歳出削減や税収増につながる成長戦略は重要だが、同時に増税によって国民負担率を上げることも避けられないと説き、そのあるべき姿や検討組織のあり方について検討している本。日本の財政が悪化した経緯についても振り返っている。著者は、政府税制調査会会長、財政制度等審議会委員などのキャリアを持つ。

1970年代に経済成長が鈍化して税収も頭打ちになったが、1973年の福祉元年以降に社会福祉プログラムが強化されてその後の歳出増の温床になる。1980年代には「増税なき財政再建」が登場する。度重なる財政出動による国債の増発。累進性緩和などの所得税減税。少子高齢化に伴う社会保障費の増大。さらに、2009年の民主党のマニュフェストに代表されるポピュラリズムが財政の低迷に拍車をかける。

一方、現在の日本の国民負担率は低く、特に租税負担率が非常に低い。経済成長は予想通りに推移する保証はないため成長前提の財政計画はリスクが大きい。成長による自然増収が得られたら、それは財政赤字の充当にまわすとすべき。ドイツやイギリスの例では、付加価値税増税は短期的には景気に悪影響を及ぼすが、長中期では必ずしもそうとはいえない結果となっているし、国民負担率の高い北欧の実質経済成長率は日本よりも高い。カナダの改革を紹介しているところもある。国債は市場で金利が決まる商品であり、様々な環境悪化要因を考慮すると日本の国債は9割以上が国内消費されているから今後も大丈夫という意見は楽観的過ぎる、という。

今後の税制のあり方としては、安定財源は消費税増税で対処し、所得税についても1991年度(26.7兆円)から2012年度(13.5兆円)までに半減しているので累進税率見直しなどで復権させる。現在3割程度の企業しか納めていない法人税の減税は経済効果見合いで検討。長年減税対象になってきた相続税を代表とする資産課税は、機会平等や富の再配分という視点から強化する。また、納税者番号制を導入して効率化と公平化を図る、という考えが示されている。

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