アメリカン・ヴィジョン ワイエス芸術の3代 (ワイエス画集) の感想

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参照データ

タイトルアメリカン・ヴィジョン ワイエス芸術の3代 (ワイエス画集)
発売日販売日未定
製作者ジェイムズ・H. ダフ
販売元リブロポート
JANコード9784845703258
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 アンドリュー・ワイエスの画集シリーズの1冊ではあるが、80年代後半に数カ国を巡回したワイエス家3代の展覧会のカタログであり、アンドリューの父であるN.C.ワイエス、息子であるジェームス・ワイエスの作品と伝記的情報も含まれる。この展覧会は旧ソ連を巡回した最初のアメリカ作家展だったそうだが、この一家のプロフィールを知れば、なぜそのような文化外交に彼らの絵画が「An American Vision」というタイトルの下で選ばれたかがよく分かる。

・祖父(N.C.):アメリカ文学者との親交も広い著名なイラストレーター&画家。インディアンや西部の生活を描いたシリーズや「宝島」(スチーブンソン)の挿絵で有名。油絵に才能を発揮。

・父(アンドリュー):荒涼とした田舎の風景や人物を描く。解放運動以前に黒人を描いたシリーズでも有名。水彩やテンペラを好む。

・孫(ジェームス):著名な画家一族のエリートとして、華々しい人脈を得る。軍やNASAに勤務経験があり、ケネディ家とも交流があった。デュポン一族の娘と結婚。ラオス難民の少年の絵が代表作である肖像画家だが、動物画でも有名。油彩を好む。

 彼らの先祖はボストン茶会事件や南北戦争でも活躍した記録が残っており、N.C.の祖父が交流があったという思想家ソローの精神的な影響を特にN.C.とアンドリューは受けている。ジェームスに至ってはウォ−ホールとも交流があり、当時としては彼ら一家を取り上げることで若き移民国家アメリカの「伝統」と「現在」を(あくまで想像的にだが)語ることが可能となったのだ。解説の文章量も豊富で読み応えがあり、資料的価値の高い一冊だ。

 アンドリューのファンだった僕は、彼が「the American Artist」と呼ばれる「文脈」が本書で理解できたように思います。まあ、画家として純粋に一番面白いのは、やっぱりアンドリューなんですけどね。

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