軍靴のバルツァー 2 (BUNCH COMICS) の感想

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参照データ

タイトル軍靴のバルツァー 2 (BUNCH COMICS)
発売日2011-12-09
製作者中島 三千恒
販売元新潮社
JANコード9784107716422
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

一巻で早速、王族を御前にしていきなり鉄火場を潜り抜ける羽目になったバルツァー少佐。
新式銃のデモンストレーションによって、反発する側にその威力と効力を飲み込ませることに成功したものの、今度は想定される反動と想定外の人物の乱入の対処に追われることに。

次なるは、生徒たちにいかにして「敵」を殺させるか、「撃つ側」の恐怖をどう克服させるかという課題に向き合うことになる二巻です。
それと並行して一見平穏なバーゼルラント国内に動乱の兆しが見えつつあります。

根回しもしないまま上からの性急な改革を推し進め、当然ながら反発を喰らう第二王子「ライナー」。
軍事大国への反骨心か、独立保持のための焦りか、その両方か。
結果巻き起こった暴動に対しては、自らの私兵でもある士官学校の生徒たちを用い、殲滅も辞さない強硬な態度を持って臨みます。

対するは第一王子「フランツ」。
弟とは対照的に大時代的過ぎる衣装を身に纏い、言動の端々から懐古主義=徹底した保守主義を感じ取れる、そんな人物です。
現状、両名とも不安要素しか抱えていない困った兄弟ですが、問題なのは兄の方にもバルツァーに伍する実力の(全く信用できない)ブレーンが付いていること。

本作の「トリックスター」にして「ライバル」、「リープクネヒト」の登場です。
主人公バルツァーの親友とうそぶきながら、複数の立場を使い分け、敵か味方かわからない挙動で読者もろとも煙に巻き、騒乱の種を蒔きながら、新時代のグランドデザインを描くためとかほざいてみせる。

はっきり言います。うさんくさいです。すべてを見透かしたような態度が鼻につくというか。
何らかの目標を目指してはいるのですが意図を読ませない動きが言ってはなんですが、気持ち悪いのです。

ところで我々の歴史で音楽家と王族と言えば、楽劇王「リヒャルト・ワーグナー」とバイエルン国王「ルートヴィヒ2世」の関係がまず思い浮かぶでしょうか。

粗筋や内容などは他の評価者が上手にまとめておられますので、私は他の事で。
 
この漫画には政治面、経済面、コミュニティの意識などちょっと普通の漫画じゃお目にかかれないような意見が断片的に見られます。
 
多分にエゴなんですけど、それを用いて説教するが如き話はありません。
 
登場人物はその時代の人らしく、我々とは異なる(場合によっては変わらない)意見を述べます。
 
主人公に至っては今の感覚ではかなり問題があります。
 
でもそれは漫画にありがちな「悪ぶってる」のではなく「当時なら十分ありえる常識的行動」として落とし込まれているところに好感がもてます。
 
「ヴィンランド・サガ」「ドリフターズ」などの様に現在とは異なる倫理観や常識をキチンとキャラに乗せて、しかも時代の空気や技術レベルと共に描くあたりは荒削りながらも見事です。
 
人物の描き方はちょっとまだこなれていない所がある様に思いますが、歴史をよく勉強されているので、仮想戦記ものとしても物語としても無理なく理解できて楽しく読めます。
 
女っ気は殆ど無いし、何か凄い技や兵器が登場する事は無いので、そういうのが好きな方は別な本へ。
 
世界ものとは全く違う架空の歴史もの。
 
人気のおかげで、作者も長丁場向けに舵を切ったようなんで、今後が楽しみです。

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新潮社から発売された中島 三千恒の軍靴のバルツァー 2 (BUNCH COMICS)(JAN:9784107716422)の感想と評価
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