受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)
発売日2011-11-28
製作者池谷 裕二
販売元新潮社
JANコード9784101329222
カテゴリ人文・思想 » 教育学 » 教科教育 » 学習指導

購入者の感想

池谷祐二の脳科学のエッセイの読み方

池谷祐二は脳をテーマにしたエッセイをたくさん書いている脳科学者。
どの本もエッセイとしては面白いが、内容的にはほとんどオーバーラップしている。
脳のメカニズムについて、脳と人間の行動の関係(連携)について知りたいと言うことであれば、
・『自分では気づかない、ココロの盲点(完全版)』
・『進化しすぎた脳』
この2冊を読めば、池谷祐二の脳科学の内容をほぼカバーしたことになる。
脳科学の知見を学習に役立てたいということであれば、さらに
・『受験脳の作り方』 (タイトルは営業的に”受験”となっているが、学習一般について)
脳科学についてではないが、
『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』は英語発音についての名著。

活動している人間の脳を切り開くことはできないので、
脳に電極を刺したり、最近ではMRIで脳の活動を調べたりという実験が続けられているが、
まだまだ、その実態は解明できていない。AI人工知能の開発も、
人間の脳の仕組みを参考にするのではなくデイープラーニングというcomputingの方向に進んでいる。

池谷祐二が専門とする薬剤を使っての大脳生理学の世界では、
神経細胞・シナプス・ニューロンの働きが随分解明され始めたようだが、
このミクロの世界の説明と、人間の活動と脳の連携の説明は大きく乖離しているのが
脳科学の現状のようである。(脳のメカニズムの説明における中間部分の欠落)

池谷祐二が脳科学(業界)の神様と呼んでいるデイビッド・J・リンデンは、
その著書
『つぎはぎだらけの脳と心』
原題:The Accidental Mind : How Brain Evolution has given us
Love, Memory, Dreams and God (2007)
の中で、脳科学の”中間部分の欠落” を次のように述べている。

(記憶のメカニズムをミクロ・レベルに説明した後)

過去に池谷氏の勉強法の本を読んだ方は、この本を買う必要は無いと思います。
というのも、この本に書かれている事の大半は、過去に池谷氏が出した勉強法に関する本の内容と一緒だからです。

目次を見れば大体の内容が分かると思うのですが、
amazonからでは目次が見れないようなので、ここに記しておきます。

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第1章 記憶の正体を見る
1-1 能力はテストでしか判定できないのか
1-2 神経細胞が作り出す脳
1-3 覚えるvs忘れる
1-4 海馬について知ろう
1-5 がんばれ海馬
第2章 脳のうまいダマし方
2-1 誰だって忘れる
2-2 よい勉強? 悪い勉強?
2-3 繰り返しの効果
2-4 がむしゃらだけでは報われない
2-5 脳は出力を重要視する
第3章 海馬とLTP
3-1 記憶の鍵をにぎるLTP
3-2 童心こそ成績向上の栄養素
3-3 思い出という記憶の正体
3-4 感動的学習法
3-5 ライオン法
第4章 睡眠の不思議
4-1 眠ることも勉強のうち
4-2 夢は学力を養う
4-3 睡眠と記憶の不思議な関係
4-4 勉強は毎日コツコツと
4-5 寝る前は記憶のゴールデンアワー
4-6 一日の効果的な使い方案
第5章 ファジーな脳
5-1 記憶の本質
5-2 失敗にめげない前向きな姿勢が大切
5-3 コンピュータと脳の違いとは
5-4 自分の学力を客観的に評価しよう
5-5 記憶はもともと曖昧なもの
5-6 失敗したら後悔ではなく反省をしよう
5-7 長期的な計画をもって勉強しよう
5-8 まずは得意科目を伸ばそう
第6章 天才を作る記憶のしくみ
6-1 記憶の方法を変えよう
6-2 想像することが大切
6-3

 この本の最終ページに、「この作品は平成14年4月ナガセより刊行された『高校生の勉強法』を改題し、文庫化にあたり、増補、一部改稿された」と記述されています。「はじめ」にも同様のことが書かれています。
 『高校生の勉強法』は、脳科学の入門書として非常にすぐれたものだと思います。その後の科学的進歩・知見について内容を増補し、価格も半額になった本書は買いです。
 相当勉強しているのに、うまく習得できていないと痛感する人は多いと思います。それは、記憶と忘却の仕組みについてよく理解していないからです。先へ先へと急ぐ人ほど、その傾向が強いと思います。この本に書かれていることを実践すると、効率的な復習によって学習したことの習得効果に大きな差があることが実感できます。「予習、学習、復習の比率は 1/4 : 1 : 4 程度が適度だと考えています」と書かれています。
 努力の割にうまく習得できない理由がこの本を読んでよくわかりました。
 

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