二十歳の原点 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル二十歳の原点 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者高野 悦子
販売元新潮社
JANコード9784101183015
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

購入者の感想

高校時代に読んだ「二十歳の原点」三部作は、京都の風景の美しい描写や高野さんの葛藤も含めて、私にとってバイブルのような役割を果たしてくれた。しかし、学生運動に翻弄され、身を投じる気持ちは今も理解できないし、彼女の自殺の原因もまた本人にしかわからないことなのだろう。中年になった今も、彼女の本は私の宝物だ。

高野悦子さんは、学園闘争高揚期の1960年代後半の揺れ動く、
激動の時代に立命館大学文学部史学科に入学し、大学生となる。
でも彼女は他の学生のように学園闘争の運動へ没入していくことはせず、
自分自身が「政治」に関わることへの根拠に疑問符を差し挟み、
常に自問自答を繰り返しながら、運動への参加と離脱を繰り返していきます。
この日記は、彼女のそういった学生生活における、
打ち砕かれた「理想」と「現実」への煩悶、
「主体性の確立」への真摯な闘い、そして失恋や孤独の寂しさなどが、
明るさと清冽なニヒリズムを底流に湛えるというパラドックスの中で、
彼女の激しさと優しさが同居した、瑞々しい文体で綴られていく二十歳の記録。
青春のすべてを傾注した、孤独で壮烈な軌跡!
だが彼女はついに孤独の中で、自らの命を絶つ。
1969年6月24日未明、山陰線の列車に飛び込み鉄道自殺。
何故彼女は、自ら命を絶たなければならなかったのか?
透明で純粋な心を失わずにいた高野悦子さんの二十歳の魂の記録は、
才能溢れる閨秀詩人であった彼女の最初で最後の「詩集」ともいえる。
「―独りであること、未熟であること、それが私の二十歳の原点である」
永遠の二十歳である彼女の「二十歳の原点」―。
ぜひみなさんにも手に取って感じてほしい、珠玉の一冊です。

今、この本は手元にはない。はるか昔に読んだ記憶だけが残っている。
僕は死にたいと思ったことはないが、二十歳のころ、たまたまこの本を手に取った。
僕にはなかった青春の葛藤がそこにはあった。
自分はこういう葛藤さえ持てない人間なのかと彼女をうらやましく思うと同時に、彼女の弱さを感じたのを覚えている。
今振り返ってわかるのは、彼女が自分の本当の性格に気付いていないということだ。
本当は弱く繊細すぎる自分。
なのに彼女は、学園紛争の最中の学園に身を置き、他の学生の活発な青春と同じものを引き受けようとする。
そこにすさまじいばかりの痛々しさを感じる。
今の僕に言えることは、弱く繊細であることは生きることにとって、決して足枷にはならないということ。
むしろ財産にさえできる。だが彼女はそれに気づかない。
彼女自身のせいか、時代のせいかそれはわからない。
少なくともそこにさえ気づいていたなら尊い自分の命を失うことはなかっただろう。
もう少し長く生きていれば気付いたかもしれない。
だが彼女にはその機会はなかった。残念なことだ。
若い人は心してこの本を読んでほしい。

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