新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫) の感想
参照データ
タイトル | 新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 宮尾 登美子 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062756846 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説 |
購入者の感想
幕末の激動の時代にあって、薩摩の分家の娘として生まれながら、その英明さを見込まれ、将軍家定の妻となり、姑として皇女和宮を迎えた女性の一生を描いています。
島津斉彬から徳川慶喜を将軍にする密命を帯びて、将軍の妻となった篤姫が、その困難さと少ない情報量の中から、自分が戦略の道具として使われたのではと疑いを持って行きます。
その後、家定が死に家茂の妻として和宮を迎えた時、彼女もまた「攘夷」の推進という使命を持って嫁いできたことを知ります。
この二人のやりとりを通じて、この時代の女性たちが「道具」でしかなかったことを描いて行きます。
しかし、この天璋院はそんな制約の中でも、大奥3000人を統べらい、徳川家の存立を賭けて的確な判断を見せて行きます。「男だったら」という部分が何度か出てきますが、それだけの「人物」だったということでしょう。
この小説は、そうした天璋院の「人間」を描いているのですが、和宮との対比をして一層天璋院という人物を際立たせている見事さがあります。
それと、男に道具としていいように使われる前半から、その能力を如何なく発揮して、徳川家の存続に向けて活躍する中盤を経て、ラストに「余生」として、子どものときの懇ろな家族関係に戻ったような心安らぐ晩年を与えることで、読む側をほっとさせるものがあります。
その点では、非常に読後感の爽やかな作品になっています。
島津斉彬から徳川慶喜を将軍にする密命を帯びて、将軍の妻となった篤姫が、その困難さと少ない情報量の中から、自分が戦略の道具として使われたのではと疑いを持って行きます。
その後、家定が死に家茂の妻として和宮を迎えた時、彼女もまた「攘夷」の推進という使命を持って嫁いできたことを知ります。
この二人のやりとりを通じて、この時代の女性たちが「道具」でしかなかったことを描いて行きます。
しかし、この天璋院はそんな制約の中でも、大奥3000人を統べらい、徳川家の存立を賭けて的確な判断を見せて行きます。「男だったら」という部分が何度か出てきますが、それだけの「人物」だったということでしょう。
この小説は、そうした天璋院の「人間」を描いているのですが、和宮との対比をして一層天璋院という人物を際立たせている見事さがあります。
それと、男に道具としていいように使われる前半から、その能力を如何なく発揮して、徳川家の存続に向けて活躍する中盤を経て、ラストに「余生」として、子どものときの懇ろな家族関係に戻ったような心安らぐ晩年を与えることで、読む側をほっとさせるものがあります。
その点では、非常に読後感の爽やかな作品になっています。