ベイジン〈上〉 の感想

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参照データ

タイトルベイジン〈上〉
発売日販売日未定
製作者真山 仁
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492061473
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 経済・社会小説

購入者の感想

非常に面白いし興味深い。但しエンディングは賛否両論。

最近注目されている中国で大活躍中の日本人「加藤嘉一」に取材したということから中国事情を様々な角度から鋭く描いている点は秀逸。彼は多くの作品で複数の主役級の話を絡ませながらひとつのテーマに集約していく手法を好むが本作でもその手法を踏襲している。

一人の日本人と二人の中国人を通じて、中国問題そして日中問題を多角的に描いており非常に勉強になる。特に二人の中国人のコントラストが素晴らしい。中盤以降にこの三人が一堂に会するシーンは本小説のひとつのクライマックスであり、複雑な日中関係を越えて相互理解と友情で結ばれるくだりは、胸が熱くなり涙を誘う。複雑で難解な障害を乗り越えるためには熱き想いが非常に大切であるということを痛感させてくれる。

但し小説の幕切れに異論があるので☆1つ減点。その理由は以下参照。

<このあと思い切りネタバレ>

但し本当のクライマックスは賛否両論があるだろう。中国人にありがちなヒューマンエラーがきっかけになり、非常用電源含め全て起動しなくなり炉心の冷却機能が完全に失われてしまう。炉心の気圧を下げるためにベントに行った日本人技師はベントの破裂により音信不通となる。この問題を解決にしに行こうとする時点でこの小説は終わってしまう。あたかも「この小説の続きは福島第一原発で」とでも言わんばかりの展開だ。

そして今、福島第一原発でこの事象をなぞる事態がまさに起こっている。よもや著者は福島第一原発事件を予言していたわけではないだろうが、原因が違うとはいえ、起きている事象が酷似している点は空恐ろしくなる。

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