構造改革論の誤解 の感想

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タイトル構造改革論の誤解
発売日2014-08-30
製作者野口 旭
販売元東洋経済新報社
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カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

とにかく分かりやすい。分かりやすさの原点は論理の明快さにあります。
「構造改革」が叫ばれて久しいですが、たとえば道路公団の民営化(=構造改革)が、なぜ景気回復につながるのか、直感的におかしいと思う人は多いはず。そんな疑問に、マクロ政策(総需要不足に対する対策)とミクロの政策(経済効率の改善)は目的も役割も違うのだから、二つの政策の間に基本的な因果関係はない、と解き明かしてくれます。つまり、道路公団民営化は、個々の経済主体を効率化するミクロ政策であってマクロの総需要を満たすための政策ではなく、それで現実的な景気が回復はしない、ということになります(それどころか景気を悪化させることもある)。
不良債権も日本的雇用システムの崩壊もマクロ政策の失敗の結果(批判の対象は金融政策)、したがってミクロの政策や不良債権処理を進め、日本的雇用システムを壊したところで景気回復にはつながらない、とする論理には説得力があります(ただし、著者も述べているとおり「問題」がマクロ政策の対象とする循環的な景気低迷であることが前提。この点は著者も述べているとおり、循環的と見るか構造的とみるかは論が分かれる。ここを納得したい)。
いろいろな議論を論理で整理、その明快さで一読の価値あります。

 「構造改革なくして景気回復なし」、「日本型システムが冷戦終結後の世界変動に適応不全を起こしているのが現在の低迷の原因だ」、「日本型雇用システムは時代遅れ。能力主義に切りかえるべきだ」、「不良債権処理の先送りが日本経済を悪くしてきた。とにかく不良債権処理の断行なくして日本再生はありえない」、「もはやマクロ経済政策には限界がある。これまでさんざんやってきたじゃないか」、「金融だって、目いっぱい緩和している。ゼロ金利で市中に金はジャブジャブあふれているじゃないか」「今起きているデフレは、これまで高価格体系だった日本経済が国際競争にさらされて物価が下がっているものだ。構造転換に必要な良いデフレだ」、「だいたい景気が良くなると改革が進まないじゃないか」(最後は日本国内閣総理大臣小泉純一郎氏の発言)。
 こうした巷にあふれている「経済談義」をなんとなくそんなものか、と思いながらしっくりこないと感じる人、きちんと考えてみたいけど経済書はいっぱいあって、どれを読んだらよいかわからない人、ぜひこの本を読んで欲しい。結論からいえば、上のような考え方はすべて誤りであることを、この本は丁寧に、わかりやすく、そしてきちんとした経済学の基本にのっとって解き明かしてくれる。では、低迷から脱出するためにはどうすれば良いのか?この本にはちゃんとそれも書いてある。読んでからのお楽しみ。分量もお手ごろだ。

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