エセー〈1〉 の感想

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参照データ

タイトルエセー〈1〉
発売日販売日未定
販売元白水社
JANコード9784560025741
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » フランス

購入者の感想

 岩波文庫でエセーは20年前から 折に触れて読んでいる。高校生だった20年前に本書を読もうとした自分自身がいかに生意気であったかということが最近解った。エセーという本は 読み手に それなりの人生経験を要求する。親のすねを齧っている分際で エセーを読み 論じるというのは所詮不可能であった事が 中年の今になるとはっきり解るが まあ それも青春の特権であろうと苦笑するしかないか。
 ということで そんなエセーに新訳が出たというので 思わず買ってしまった。確かにエセーの旧訳には 読みにくいものを感じて来ただけに 読んでみると この新訳ははるかに読み易い。旧訳の原二郎氏を擁護するわけではないが そもそもモンテーニュの原文自体が ちょっとだらだらとしている点は間違いなくある。そこを今回は宮下氏が 思い切った訳で挑戦しているという事だと思う。それに 原氏の時代と今とは日本語自体も変容している点もあるに違いない。いずれにせよ 挑戦的な翻訳は 読んでいても 楽しい。
 岩波文庫のエセーのレビューでも書いたが エセーを読むことは「象の散歩」に似ている。ゆっくりとのんびりと一歩一歩歩く象のように 本書を配本に合わせて読んで行きたい。配本を待つ間に 更に人生経験が増し より深く読めるとしたら それこそが本を読む醍醐味ではないか。

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