山からの贈り物 (角川地球人BOOKS) の感想

　世界で女性初となるエベレスト登頂を果たした登山家・
田部井淳子さんによるエッセイです。その後も世界各国の
最高峰を目指して登られているようで、それ以外にも多数
の日本の山を登っておられます。

　これ程たくさんの山を登っている田部井さんが、高さは
なくとも印象に残っている山を挙げてくれています。その
一つが福島県飯館村の野手上山628mです。3.11以降残念な
ことになっていますが、世界各国を登った登山家の印象に
も残る山はさぞかし美しかったのだろう。

　世界の地においてもその土地土地の特性をあらわした山
もあり、高さを追い求めなくてもすばらしい山がこの地球
上にはたくさんあると気づかせてくれます。

　山を登ったことがない私が何かのヒントになるかと選ん
だ本。特に技術的なことが書かれた本ではないけれども、
山を始めるなら低い山からという概念に捉われる必要はな
いとも学びました。田部井さんは低い山を登ってしんどい
汚いって思うよりもケーブルなど使って高い山に登って、
その風景のすばらしさを体感してから山登りを始めても
よいと説いてます。このような発想の転換力が山登りの
決断時にもいかされていたのだろうと感じ入りました。