「きめ方」の論理 ―社会的決定理論への招待― の感想

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参照データ

タイトル「きめ方」の論理 ―社会的決定理論への招待―
発売日販売日未定
製作者佐伯 胖
販売元東京大学出版会
JANコード9784130430173
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » オペレーションズ

購入者の感想

本書で扱う問題は、「社会的決定」という問題である。人びとの「こうしたらいいと思う」という意見を集約して、「どうしたらいいか」をきめるときのきめ方について考える。例えば選挙であれば立候補者、ビジネスであれば戦略代替案、家族であれば今年の夏はどこへ行こうか、など、考えられるいくつかの選択肢から、みんなが良しとするものを選び出そうとする、決定していこうとする。このような、物事が決定されていくプロセスを考察する。そこには、当然、民主的な決定、公正な決定、平等な決定とはどういうことなのか、が考察対象として含まれる。
こうした問題を考える時の最大の悩み事が、個人個人は異なる価値観を持ち意見に多様性が存在するにもかかわらず、社会的に「統一した意見」を抽出しなければならない、ということである。これは、「社会的決定」のもつ最大のジレンマと捉えられるが、本書の主題は、このジレンマを克服していくことである。そのプロセスとして取り上げられるのが、社会的決定の最も一般的な形としての「投票」、これを基礎に置く、やや抽象的な議論になりがちな、厚生経済学による経済政策決定、そして「ゲーム理論」を考察することで、社会的決定についての本質的な姿を提示しようとする書である。これらの中で展開されるジレンマは、投票のパラドクス・アロウの一般可能性定理・囚人のジレンマというものであり、社会的決定理論の三大ジレンマとして捉えられている。
本書の面白い点は、われわれが常識的に想定してしまっている仮定・前提(本書でいうところの無関係対象の独立性・パレート最適性の第二の側面・利己主義仮説(功利主義))から議論を進め、上記の矛盾・ジレンマを、ものの見事に描き上げている点である。こうした矛盾を導くことによって、そもそも前提としていた常識的仮定に問題があることを指摘し、本来の人間の姿に接近していく。その結果、社会的決定のあるべき姿を描きだす、といった構図である、と解釈できる。詳細は本書を参照されたい。特に、投票のパラドクスに関する説明は、興味深くかつ重要な問題を提起していると考えられる。
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