戦争の日本近現代史 東大式レッスン! 征韓論から太平洋戦争まで (講談社現代新書) の感想

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タイトル戦争の日本近現代史 東大式レッスン! 征韓論から太平洋戦争まで (講談社現代新書)
発売日2013-06-28
製作者加藤陽子
販売元講談社
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カテゴリ » ジャンル別 » 歴史・地理 » 歴史学

購入者の感想

読了:2016年100冊(12月1冊)★3.3
2002/3/19 加藤 陽子 (著)

最近読んだ『日本人のための「集団的自衛権」入門』で石破茂も言っていたが、外交問題や戦争を二度と起こさないためには、過去に起こった戦争がなぜ起きたのか、その時の状況を入念に調べることが大事だ、と。

本書は、第一次世界大戦前後の日本の状況を述べる。地方議会議員の日記を引用するなど、その時日本がどういう思想だったのかがよく分かる。
どのように国民を戦争見向かわせる意識を醸成したのか、その狙いとは。今から思えば「おかしい」と思うことも、当時はみな合理的な思考に基づいて行動していた。それらの説明が丁寧に調べ上げられている。難しかったが、読み応えがあった。この類の本をもっと読みたいと思った。

───彼等(清国人を指す)は頑迷不霊にして普通の道理を解せず、文明開化の進歩を見てこれを悦ばざるのみか、反対に其進歩を妨げんとして無法にも我に反対の意を表したるが故に、止むを得ずしてことの茲に及びたるのみ。(中略)幾千の真平派何れも無辜の人民にしてこれを鏖にするは憐れむ可きが如くなれども、世界の文明進歩の為にその妨害物を排除せんとするに多少の殺風景を演ずるは到底免れざるの数なれば、彼等も不幸にして清国の如き腐敗政府の下に生まれたるその運命の拙なきを自ら諦むるの外なかる可し。(p.115-116)福沢諭吉

本書を戦争をベースにした日本の近現代史である。しかし著者が冒頭に記したように
日本は日清戦争以降ほぼ10年おきに戦争を繰り返してきた。これは裏返せば戦争を
抜きにして日本の近現代史は語れないということである。

そういう意味で本書は、近現代史の通史として非常によくまとまっている。各章(講)
タイトルは、「日本にとって朝鮮半島はなぜ重要だったか」等、「なぜ(Why)〜」と
なっており、戦争に至るその要因を国際関係のなかから解き明かしている。

個人的には、「対華二十一ヵ条の要求」の当時の認識に関しての説明や、国際連盟
と人種差別撤廃案についての説明の箇所など、これまでの認識を新たにさせてくれる
興味深い論考が随所にみられた。

残念なのは、「東大式レッスン」とした副題を含む全体の編集方針である。普通の
近代史として改訂して、学術文庫の一冊にでもすればもっと読者も増えると思う。
同じ著者の『満州事変から日中戦争へ』を併読することをお薦めする。

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