現着: 元捜一課長が語る捜査のすべて (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル現着: 元捜一課長が語る捜査のすべて (新潮文庫)
発売日2013-05-27
製作者久保 正行
販売元新潮社
JANコード9784101274812
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

 第62代警視庁捜査一課長をつとめた久保正行氏が月刊誌「捜査研究」に寄稿したエッセイを一冊にまとめた著書です。親本は『君は一流の刑事になれ』(東京法令出版)。
 文庫化にあたり『現着』と改題し、加筆訂正しているようだ。ちなみに、現着とは警察用語で「現場到着(arrival on scene)」の意。

 さまざまな犯罪捜査の体験談が具体的に明かされています。世間を騒がせた事件もあれば、新聞の三面記事の片隅に載るかどうかという事件もある。現実の捜査活動は、地道な努力と情熱のたまものというほかはない。そこには、小説や映画やTVドラマのミステリ物でおなじみの名探偵の華麗な推理などとは異質な世界があるのだ、ということを実感させてくれる。

《この本を書いた理由は、私の経験を紹介することで、現在も昼夜を問わず事件捜査に携わっている刑事の皆さんに事件解決へのヒントとして役立てていただきたいという気持ちと、刑事の仕事を理解して惜しみなく協力して下さる刑事ファンが増えてほしいという期待からです。》

 ですます調の文章は、素直で読みやすい。ぜひともこれを自分のことばで書き残しておきたい、という熱い気持ちが伝わってきた。著者はおそらく、書くことが非常にお好きなかたなんだろう。
 単に読物として興味を惹くばかりでなく、資料としても一読に値する内容があります。

 ただし、持論の刑事魂を説いたくだりは、いささか舌足らずというか、説教くさい印象を読者にあたえるのではないかな。とりわけ、若い読者は世代のギャップを感じてしまうかもしれない。
 欲をいえば、犯罪ノンフィクションと刑事論を分けて、それぞれで一冊の本にしたほうがすっきりしたかな、という気もしました。

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