日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書)
発売日販売日未定
製作者加藤 秀治郎
販売元中央公論新社
JANコード9784121016874
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

新聞の選挙制度報道は判子で押したようにいつも同じことを言っている。曰く、小選挙区制は安定した政権が作れるが死票が多い、比例代表制は選挙民の意見を正確に反映しかつ死票がないが小党分立で政権が安定しない・・・この本は話がそれでは終わらないことを教えてくれる。もともと小選挙区制と比例代表制は根底にある理念が異なっている。選挙制度を論じるには、まず依って立つ政治理念を明確にしなくてはならない。90年代の政治エネルギーの大半を費やしたかに思える選挙制度改革において、このような根源的な議論が行われただろうか。国民はそれを少しでも知っただろうか。

選挙制度問題を考えれば考えるほど、政治とカネの問題など瑣末なことに思えてくる。立花隆の自論である「イギリスなみに厳しい政治資金規正法を制定すればすべてうまくいく」という主張は、実行すれば政治家はカネには清潔になるかもしれないが政治が良くなることはあまりないような気がする。

参議院改革問題についても、政治学者である著者は世評とは違う視点を持っている。著者に言わせるなら、参議院は第二院としては異様なほど強い権限を持っており、法案の審議についてはほとんど同等である。与野党伯仲の時代にあっては、衆参両院の議決が異なると、法案はほとんど成立しない。参議院の権限を強めるなどもっての他である。独自性を参議院に求めるなら、政争から一歩離れて、「再考を促す」院としての性格を強めるべきだという。

他にも読むべき点は数多い。文庫本を専門の政治学者が本気で書くと、これほど読みでのある本になるとは思わなかった。著者は今後も一般人への啓蒙活動を盛んに行ってもらいたい。半可通の政治談議は飽きた。根拠のある骨太の議論が読みたい。0

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中央公論新社から発売された加藤 秀治郎の日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書)(JAN:9784121016874)の感想と評価
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